改訂新版 世界大百科事典 「ワイベル」の意味・わかりやすい解説
ワイベル
Leo Waibel
生没年:1888-1951
ドイツの地理学者。キール大学,ボン大学教授等を歴任。農業地理学,アフリカおよびブラジルなどにおける地域研究で優れた研究業績を上げた。A.ペンクやA.ヘットナーの高弟。自らはJ.シュミットヒューゼン,F.バルツ,K.J.ペルザー,G.ファイファーなどの逸材を育てた。1933年には《農業地理学の諸問題》(邦訳あり)を著し,生態的相観的方法とチューネン理論を結びつけた経済生態系ともいうべき〈Wirtschaftsformation〉という概念をつくり,それを中心にした地理学研究法を提唱して斯学の発展に貢献した。37年に刊行された《熱帯アフリカの原料地域》は,第2次大戦前における地域研究の名著とされている。37年にはナチスによってボン大学を追われ,39年にアメリカへ渡り,ウィスコンシン大学の客員教授。45年から5年間はブラジル国立地理院で活躍,同国における入植地の研究,地域開発の推進に寄与した。
執筆者:西川 治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報