アメリカの作家W・サロイヤンの代表的な連作短編集。1940年刊。背景はカリフォルニア州のフレズノ。時代は作者が7歳になる1915年から、この町を去る25年ころまで。作者がモデルと思われる語り手の少年アラム・ガローレニアンの目を通して素朴に描写される風景、ガローレニアン一族とその周囲の人々にまつわる日常の物語。彼らは激しく変貌(へんぼう)してゆく時代変化をよそに、自分たちをあくまで昔の国の昔の人間であると信じて生きている。金もうけに疎く愚かだが、善良で寂しがり屋で優しい夢多き人々、そういう人々といっしょに暮らしてだれひとり不平をいう者がいない。いまと比べてどちらが幸せか、作者は読者とともに自問しているようだ。
[後藤昭次]
『清水俊二訳『わが名はアラム』(1980・晶文社)』
…以後,戯曲,長編,短編を次々に発表し,1939年には戯曲《わが心は高原に》がブロードウェーで評判となり,同年の《君が人生の時》で翌年ピュリッツァー賞の受賞が決定したが,彼は受取りを拒絶した。小説では少年を主人公にした《わが名はアラム》(1940)と《人間喜劇》(1943)が有名で,ユーモアとペーソスにあふれる自由奔放な語り口で,カリフォルニアを舞台に貧しい善良なアルメニア系の人々の底抜けに明るい生き方を描いている。その他《ロック・ワグラム》(1951),《人生の午後のある日》(1964),短編集《アッシリア人たち》(1950)などがある。…
※「わが名はアラム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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