ワキヤハタ(読み)わきやはた(その他表記)silverbelly seaperch

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ワキヤハタ」の意味・わかりやすい解説

ワキヤハタ
わきやはた / 脇谷羽太
silverbelly seaperch
[学] Malakichthys wakiyae

硬骨魚綱スズキ目ホタルジャコ科に属する海水魚。日本海側では山口県沖から、太平洋側では千葉県から九州南岸、東シナ海、沖縄舟状海盆(しゅうじょうかいぼん)(トラフ)、および朝鮮半島南岸などに分布する。体は楕円(だえん)形で側扁(そくへん)し、体高は高くて体長の35%ほど。目はきわめて大きく、吻長(ふんちょう)よりも大きい。口も大きく、上顎(じょうがく)の後端は目の中央下に達する。下顎の先端に1対(つい)の突起がある。下顎は上顎より突出する。上下両顎、鋤骨(じょこつ)(頭蓋(とうがい)床の最前端にある骨)、口蓋骨には絨毛(じゅうもう)状歯帯があるが、犬歯はない。前鰓蓋骨(ぜんさいがいこつ)の腹縁に小鋸歯(きょし)があり、主鰓蓋骨には2本の弱い棘(きょく)がある。背びれは棘部と軟条部の間に深い欠刻(切れ込み)がある。臀(しり)びれの最長軟条長は臀びれの基底長よりも短い。側線有孔鱗(ゆうこうりん)数は48~51枚。腹びれ棘の前縁は滑らかである。肛門(こうもん)は腹びれ始部よりも臀びれの始部近くに位置する。体色は背方が淡黄褐色で、腹方は銀白色を帯びる。水深100~400メートルの大陸棚縁辺から斜面にすみ、小形の甲殻類魚類、頭足類を食べる。夜間に浅所に浮上する。産卵期は9~11月と推測されており、1年で3.5センチメートル、2年で5.8センチメートル、4年で9.1センチメートル、7年で約13.5センチメートルに成長すると推定されている。冬季底引網で多量に漁獲され、練り製品材料にされる。1984年、科名は旧スズキ科Percichthyidaeから変更された。最大体長は約25センチメートルになる。

 近縁種オオメハタナガオオメハタなどがいるが、これら両種は臀びれ長がその基底長よりも長いことなどで区別できる。

[尼岡邦夫 2023年10月18日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のワキヤハタの言及

【オオメハタ】より

…産卵期は4~5月である。水深100~200mを中心としたところに生息し,近縁のワキヤハタM.wakiyaiよりやや深いところに分布の中心がある。底引網でまとまって漁獲され,おもに練製品の材料となる。…

※「ワキヤハタ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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