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アベスタ語 アベスタごAvestan language

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アベスタ語
アベスタご
Avestan language

ゾロアスター教の経典『アベスタ』に用いられている言語で,インド=ヨーロッパ語族インド=イラン語派に属する古代イランの一言語。『アベスタ』の最古の部分『ガーサー』 Gāthāは前 1000~600年の間にできあがったものと考えられ,古代インドのベーダ語と文法,語彙の面で酷似しており,このことがインド=イラン語派を設定する一つの根拠となっている。アラム語の文字に基づいてつくられた複雑な文字が用いられ,表記と発音との関係を正確に決定するのは困難である。なお,ゼンド語と呼ばれたこともあるが,ゼンドはパフラビー語による『アベスタ』の注釈であって,誤った命名であるので,現在では用いられない。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アベスタ語
あべすたご
Avestan

古代イランにおこったゾロアスター教の聖典『アベスタ』の言語。「アベスタ」は中期ペルシア語で「原典」の意らしい。かつては誤って「ゼンド」と称されたが、これは、中期ペルシア語による、アベスタに関する「注釈」ないし「翻訳」のことである。アベスタ語には二つの層があり、ガーサー(「歌」の意)と称される部分は、その他の部分に比し古い様相を呈している。ガーサーは教祖自身にじかに由来すると考えられる韻文の説教で、紀元前600年ごろのものである。これが反映する言語の状態はインドのベーダ梵語(ぼんご)のそれに近い。アベスタの大部分を占めるその他の部分は、前300年ごろまでの間に成立したものらしく、文法形態がしだいに単純化している。アケメネス朝時代に一度編纂(へんさん)されたが、ペルシア帝国の崩壊とともに散逸し、ササン朝時代初期に再度編纂された。なお現存するのは、そのうちの4分の1ほどにすぎない。アラム文字に由来するパフラビー文字の一種アベスタ文字によって記されている。アベスタ語が元来行われていたのはイラン北東部であろうと普通考えられている。アベスタ語は、イラン南西部に行われていた古代ペルシア語とともに古代イラン語群を、さらに梵語などとともにインド・イラン語派を形成し、インド・ヨーロッパ語族に属している。[田中利光]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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