日本大百科全書(ニッポニカ) 「アヤコショウダイ」の意味・わかりやすい解説
アヤコショウダイ
あやこしょうだい / 彩胡椒鯛
lined sweetlips
yellowbanded sweetlips
[学] Plectorhinchus lineatus
硬骨魚綱スズキ目イサキ科コショウダイ亜科に属する海水魚。小笠原(おがさわら)諸島、屋久島(やくしま)、南西諸島、南大東島、台湾、南シナ海など西太平洋、アンダマン海に分布する。体は楕円(だえん)形で、側扁(そくへん)する。口は小さいが、口唇は厚く、成長につれて肥厚する。下顎(かがく)の腹面に6個の小孔(こあな)があるが、中央に溝はない。背びれに明瞭(めいりょう)な欠刻（切れ込み）がなく、13棘(きょく)19～20軟条からなる。側線鱗(そくせんりん)数はやや多くて56～58枚。尾びれの後縁は成魚では湾入形であるが、幼魚では円形。幼魚には頭の前端から尾びれまで、体の全面に数本の黒色の水平帯があり、これが全長30センチメートルを超えるころに、斜め上後方へ向かう斜走帯に変わる。これにより頬(ほお)部や腹面から縦帯がなくなるが、尾びれには小黒点として残る。胸びれの基底が赤い。腹びれの基部に赤色斑(はん)がある。全長は約60センチメートルになるが、普通は40センチメートルほど。沿岸の浅海岩礁域やサンゴ礁域の外縁の崖(がけ)や斜面に多く生息する。おもに甲殻類、多毛類、小形魚類などを食べる。釣り、定置網、追込み網で漁獲される。刺身、煮魚、焼き魚などにするとおいしい。沖縄ではアカクレーとよばれ、高級魚とされている。ムスジコショウダイに似るが、本種には体の上半分に斜走帯があることなどで区別する。
［尼岡邦夫 2018年1月19日］
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