アルカリセルロース(その他表記)alkali cellulose

デジタル大辞泉 「アルカリセルロース」の意味・読み・例文・類語

アルカリ‐セルロース(alkali cellulose)

セルロース水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリで処理したもの。ビスコース法による人造絹糸製造の中間体。アルカリ繊維素

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改訂新版 世界大百科事典 「アルカリセルロース」の意味・わかりやすい解説

アルカリセルロース
alkali cellulose

セルロースに水酸化ナトリウム水溶液を作用させると得られる反応生成物。アルカリ繊維素ともいう。

反応させる水酸化ナトリウムの濃度により,組成の異なるアルカリセルロースⅠおよびⅡが生成する。アルカリセルロースに二硫化炭素を作用させるとセルロースキサントゲン酸ナトリウムが得られる。これを薄い水酸化ナトリウム水溶液に溶かした粘稠液体ビスコースレーヨンを作るビスコースである。その他メチルセルロースカルボキシメチルセルロースなどもアルカリセルロースから作られる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルカリセルロース」の意味・わかりやすい解説

アルカリセルロース
あるかりせるろーす
alkali cellulose

セルロースとアルカリ金属水酸化物との反応生成物のことをいい、アルカリ繊維素ともいう。もっとも一般的なナトリウムセルロースは、セルロースを水酸化ナトリウム水溶液に浸漬(しんし)すると得られる。その性質は、セルロースの種類、アルカリ溶液の種類や濃度、処理方法などにより異なり、アルカリセルロースの構造を簡単に決めるのは困難である。ナトリウムセルロースは、二硫化炭素との反応により製造されるビスコースレーヨンの原料として以前は用いられたが、現在ではメチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、硫酸セルロースなどセルロース誘導体の合成原料として重要である。

[谷利陸平]

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百科事典マイペディア 「アルカリセルロース」の意味・わかりやすい解説

アルカリセルロース

アルカリ繊維素とも。セルロースを水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)溶液で処理して得られるセルロースとアルカリとの結合物。X線解析によりセルロースの結晶格子中にアルカリと水がはいっていることが認められている。不安定で,水を大量に加えると分解してセルロースを再生する。17.5%前後の苛性ソーダ溶液で処理したものは二硫化炭素によく溶ける。ビスコースレーヨンなどの再生セルロース繊維やセルロース誘導体の原料となる。
→関連項目セロハンビスコース

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化学辞典 第2版 「アルカリセルロース」の解説

アルカリセルロース
アルカリセルロース
alkali cellulose

一定濃度以上の水酸化ナトリウムに浸漬した際に得られるセルロースビスコースセルロースエーテルなどのセルロース誘導体をつくる際にもっとも重要な前処理である.水酸化ナトリウム濃度10% 以上の水溶液で,セルロース結晶の膨潤が顕著に見られるようになり,約14% 以上でアルカリセルロースが生成する.ほかのアルカリ金属水酸化物水溶液からも得ることができる.アルカリセルロースの結晶構造は,原料セルロース,アルカリ濃度,温度などによって複雑に変化する.アルカリセルロースを水洗すると,天然セルロースのセルロース-Ⅰからセルロース-Ⅱに不可逆的に変化する.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のアルカリセルロースの言及

【ビスコースレーヨン】より

…さらに次亜塩素酸塩で漂白し,板紙の形にする。(2)アルカリセルロースの生成 90~94%のセルロースを含むシート状パルプは,17.5%の苛性ソーダ水溶液に浸漬され(マーセル化),膨潤状態のアルカリセルロースが得られる。(3)シートの切断。…

※「アルカリセルロース」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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