エチルセルロース(読み)えちるせるろーす(その他表記)ethyl cellulose

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エチルセルロース」の意味・わかりやすい解説

エチルセルロース
えちるせるろーす
ethyl cellulose

エチル繊維素ともいう。セルロースヒドロキシ基-OHをエチルエーテル化したセルロースエーテルのことをいう。無臭の白色固体。セルロースに水酸化ナトリウム溶液を作用させて得たアルカリセルロースに、不均一のまま硫酸ジエチルクロロエタンなどのエチル化剤を反応させると得られる。

 エチルエーテル化される度合い(置換度)により性質の異なるものができる。置換度が大きくなるほど、有機溶媒に溶けやすくなる。耐水、耐光、耐薬品など安定性に優れているため、ヘルメット工具の柄(え)、ラッカーインクフィルムなどに用いられる。

[谷利陸平]

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化学辞典 第2版 「エチルセルロース」の解説

エチルセルロース
エチルセルロース
ethyl cellulose

セルロースのヒドロキシ基をエチルエーテル化したもの.アルカリセルロースに硫酸ジエチルまたは塩化エチルなどのエチル化剤を一般に不均一系で反応させる.グルコース単位当たり3個あるヒドロキシ基のうち,エーテル化されたものの数で表す置換度により,溶解性,軟化温度などの諸性質が異なる.低置換度(0.8以下)のものはアルカリ可溶,置換度0.8~1.3のものは水溶性で,高置換度になるにつれて,アルコールなどの極性溶媒や無極性溶媒に可溶になり,置換度2.4~2.5において他種類の溶媒に可溶となる.この溶媒可溶性,ほかの樹脂との相溶性,安定性,耐水性,耐薬品性にすぐれることから,塗料プラスチック,フィルムなどに広く利用されている.[CAS 9004-57-3][別用語参照]セルロース誘導体

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改訂新版 世界大百科事典 「エチルセルロース」の意味・わかりやすい解説

エチルセルロース
ethyl cellulose

セルロース誘導体の一種で,プラスチック,ラッカー,ワニス接着剤,透明シートに使われている。広い温度にわたって強度と可撓性を保持する熱可塑性プラスチックであり,押出成形や射出成形で成形される。コットンリンターや木材パルプを水酸化ナトリウムと反応させてアルカリセルロースとし,その水酸基を塩化エチルによってエーテル化して作る。置換度によって諸性質が異なり,高置換度になるにつれて多種類の溶媒に可溶となる。市販品は置換度が2.20~2.58で,溶媒可溶性,他の樹脂との相溶性,耐水・耐薬品性などにすぐれている。なお理論的最大置換度は3.0である。
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百科事典マイペディア 「エチルセルロース」の意味・わかりやすい解説

エチルセルロース

セルロース誘導体の一種で,プラスチック,ラッカー,ワニス,接着剤,透明シートに使われる。広い温度にわたって強度と可撓(かとう)性を保持する熱可塑性プラスチックであり,押出成形や射出成形で成形される。アルカリセルロースの水酸基を塩化エチルによってエーテル化して作る。置換度によって諸性質が異なり,高置換度になるにつれて多種類の溶媒に可溶となる。
→関連項目セルロースラッカー

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