アレシボ天文台(読み)アレシボテンモンダイ

デジタル大辞泉 「アレシボ天文台」の意味・読み・例文・類語

アレシボ‐てんもんだい【アレシボ天文台】

プエルトリコアレシボにある天文台。1963年に建設カルスト地形のくぼみを利用した電波望遠鏡は直径305メートルで、2016年に中国のFASTが完成するまでは世界最大だった。2020年、ケーブル断線で、吊されていた約900トンの受信機が落下して鏡面損壊望遠鏡廃止が決まり、以降は研究施設として存続する。1968年に蟹星雲パルサーのを発見。1974年にヘルクレス座球状星団M13に向けて電波によるメッセージを送信した。地球外の知的生命体を探索するSETIにも関わりをもつ。アレシボ電波観測所

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

知恵蔵mini 「アレシボ天文台」の解説

アレシボ天文台

米国自治領のプエルトリコにある世界最大規模の電波望遠鏡。1963年に同国の政府機関などが建設し、国立科学財団などが運営した。自然の窪地を利用して設置された直径305メートルの円形の反射面と、その中央から105メートルほどの高さにケーブルで吊るされて送受信を担うプラットフォームからなる。2016年に中国が直径500メートルの電波望遠鏡を稼働させるまで、50年以上にわたって世界一の大きさを誇っていた。1992年には太陽系外惑星を初めて発見するなど、天文学の発展に大きく貢献。送信機能を使って、地球外知的生命体がいる可能性のある天体へ電波メッセージを送るなど、米国を中心に行われている地球外知的生命体探査計画にも使用された。望遠鏡は21世紀に入って経年劣化や天災などにより老朽化が進んだため、米国国立科学財団は解体することを20年秋に発表したが、同年12月にケーブルの破断により900トンほどのプラットフォームが落下して反射面を直撃し、ともに崩壊した。同財団は今後、望遠鏡の再建は行わないものの天文台は閉鎖せず、周辺施設の運営を続ける。

(2020-12-10)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

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