数十万から百万個程度の星が100から300光年程度の領域に球状に密集している星団。中心に行くほど星の密度が急速に高くなる。球状星団は、銀河系のハロー内に銀河系円盤(ディスク)を包み込むように分布していて、銀河系のできる初期に形成された天体と考えられている。もっとも近いもので地球から約7000光年、もっとも遠いものは約35万光年も離れている。種族Ⅱの星からなり、重元素量は太陽の10%以下で1%以下のものも多い。球状星団では、寿命の短い青い主系列星はすでに進化してしまっているので、HR図(色‐等級図)では、主系列はG型星程度より赤い部分しかなく、それが赤色巨星分枝へと滑らかにつながっている。また、赤色巨星より進化した星からなる水平分枝も顕著に見られる。近年は、銀河系以外の銀河の球状星団の観測も進んでいる。球状星団の光度関数から銀河の距離を推定することもできる。銀河系以外の銀河にある球状星団の個数密度や色分布などの性質は、銀河系のものとは異なる場合があり、球状星団のできるプロセスは銀河によって異なることが示唆されている。
[岡村定矩]
恒星がクモの子を散らしたように密集して見える天体。典型的な球状星団,りょうけん座のM3は,見かけの直径19分角,7等の明るさに見え,3.5万光年の距離にある。球状星団は全天に125発見されている。いて座の方向にとくに数多く見られる。1918年,H.シャプリーは球状星団の天球上の分布から,銀河系の中心方向を初めて明らかにした。球状星団は,銀河系の中心から1万光年以内の距離に多く,それより外では銀河中心距離の3.5乗に逆比例する空間密度で分布している。球状星団は,約300光年の空間に集まっている10万~100万の恒星の自己重力と5~10km/sの速度分散による遠心力がつり合って,力学的平衡状態にある。44年,W.バーデによって,種族Ⅱの天体の原型とされ,その年齢は約100億年で,ほとんどの球状星団は,銀河系の円盤部ができるよりも前に生まれた古い星の集団である。球状星団を構成する星の大気の金属含有量は少なく,太陽の金属含有量の1/10から1/100しかない。球状星団に所属する星の運動速度は無秩序で,星の相互間の距離は絶えず変化して遠距離遭遇を繰り返し,運動エネルギーを少しずつ交換している。その結果,球状星団の星の速度分布と空間密度分布は,約10億年の時間尺度で変化して,中心部に星の空間密度の高い核ができて収縮していく。それに対して周辺部の星の分布は,しだいに大きく広がっていく。
執筆者:石田 蕙一
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…星団は距離が遠くなると,小さい望遠鏡で眺めただけでは星雲や銀河との区別が困難になるばかりかすい星と見まちがえられることさえある。星団は,メシエのカタログ(M)やドライヤーのカタログ(NGC)の番号で,ヘルクレス座の球状星団M13,ケフェウス座の散開星団NGC188などと呼ばれることが多い。銀河系の中の星団は,〈球状星団〉と〈散開星団〉に分けられる。…
※「球状星団」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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