蟹星雲(読み)カニセイウン(英語表記)Crab Nebula

翻訳|Crab Nebula

デジタル大辞泉 「蟹星雲」の意味・読み・例文・類語

かに‐せいうん【×蟹星雲】

牡牛おうしにある惑星状星雲カニの甲のような形に見える。1054年の超新星残骸と考えられ、現在もガス体四方へ飛散しつづけている。強い電波X線放射

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精選版 日本国語大辞典 「蟹星雲」の意味・読み・例文・類語

かに‐せいうん【蟹星雲】

  1. おうし座にあるガス星雲。一〇五四年に爆発した超新星の残骸とみられ、膨張速度はきわめて大きく毎秒一二〇〇キロメートルにも達する。強力な電波源およびX線源でもある。中心パルサーがある。藤原定家の「明月記」に木星のごとき明るさの客星として記載されている。

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改訂新版 世界大百科事典 「蟹星雲」の意味・わかりやすい解説

かに(蟹)星雲 (かにせいうん)
Crab Nebula

おうし座の牡牛の角の先にある星雲で,超新星の残骸である。1764年にメシエが作った拡散状天体のカタログで1番(M1)の番号が与えられ,NGCでは1952。1054年に金星より明るく輝いたことが,中国や日本の記録に見られる。7000光年のかなたにあって,毎秒1000km以上の高速でガスが四方八方に飛び散っている。そのため,1921年にウィルソン山の1.5m望遠鏡を使って撮った写真と12年前のものとを比べると,角度の1秒あまり膨張しているのが発見された。太陽質量の数倍もある星が,その一生の最後に大爆発を起こしたもので,かに星雲の中央部には爆発の残りの部分が中性子星として見られる。この星の電波強度が,0.033秒の周期で変化していることが68年に発見された。これがパルサーと呼ばれる天体である。可視光でも,0.033秒の周期で0.004秒間だけ明るくなっており,これは中心部に残った中性子星が高速で回転しており,その表面の輝いている部分が周期的に見えているためである。
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百科事典マイペディア 「蟹星雲」の意味・わかりやすい解説

かに(蟹)星雲【かにせいうん】

おうし座にある惑星状星雲(M1またはNGC1952)。距離7000光年。ガス体がカニの甲羅のような形状で四方へ飛散しつつある。1054年に爆発した超新星のなごりと考えられ,中央部には爆発の残部が中性子として存在し,強い電波を放射している。
→関連項目パルサー

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世界大百科事典(旧版)内の蟹星雲の言及

【星雲】より

…銀河系内に1000個余りが知られていて,いて座の銀河中心方向に数多く密集している。
[超新星の残骸]
 おうし座のかに星雲,はくちょう座の網状星雲などの星雲は超新星の残骸である。水素,ヘリウム,窒素,酸素,ネオン,硫黄などの強い輝線がある。…

【中国天文学】より

…また新星は〈客星〉と呼ばれたが,《宋史》天文志に北宋の1054年(至和1)5月に天関星(おうし座Ss星)の近くに〈客星〉が現れたという記事があるが,これは当時出現した超新星である。しかも近年発見された電波星として有名な〈かに星雲〉はこの超新星の900余年後の姿であることが確かめられた。また長年にわたって残された太陽黒点の記録は,炭素14を用いる考古学的遺物の年代決定法の改訂に役立っている。…

※「蟹星雲」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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