アワノメイガ(英語表記)Ostrinia furnacalis

改訂新版 世界大百科事典 「アワノメイガ」の意味・わかりやすい解説

アワノメイガ
Ostrinia furnacalis

鱗翅目メイガ科の昆虫。幼虫アワトウモロコシの茎に潜って食害する害虫。比較的小型のガで,開張3cm内外。淡黄褐色から淡赤褐色。アジアからオーストラリア,ミクロネシア,日本では本州,四国,九州に分布する。ヨーロッパでトウモロコシなどイネ科の大害虫とされ,北アメリカにも移入し土着したO.nubilalis(英名European corn borer)とごく近縁で,その生活史も似ている。老熟幼虫の状態で食草の茎の中で越冬し,翌春繭をつくって蛹化(ようか),6月ころから羽化し始める。雌は食草の葉上に500~600個の卵を産む。孵化(ふか)した幼虫は,接近した葉と葉の間,穂や茎の間などで生活するが,かなり大きくなると茎,穂,葉柄など固い部分に潜り込んで食害する。幼虫がフキオナモミの茎に食入するフキノメイガO.scapulalisは,本種とごく近縁。同属のウスジロキノメイガO.latipennisの幼虫は,イタドリの茎に潜り,一部の地方では釣餌として市販されている。これらのメイガの成虫は夜行性であり,よく灯火に飛来する。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アワノメイガ」の意味・わかりやすい解説

アワノメイガ
あわのめいが / 粟野螟蛾
oriental corn borer
[学] Ostrinia furnacalis

昆虫綱鱗翅(りんし)目メイガ科に属するガ。アジアからオーストラリアに広く分布し、日本全土にごく普通にみられる。成虫ははねの開張30ミリメートル内外で、夜行性でよく灯火に飛来する。幼虫は、トウモロコシ、アワ、キビ、ムギなどイネ科植物を食べる害虫で、寒地では年1回、暖地では年3回発生するなど、地域によって変化がある。食草の茎の中に食入し、食入口から虫糞(ちゅうふん)を糸でつづって出す習性がある。トウモロコシなどの出穂していない穂についたり、また、実に入ることもある。1970年以前は、ヨーロッパに分布するオステリニア・ヌビラリスO. nubilalisと同一種とされていたが、形態的な違いから、アジアのものは別種とされた。ヨーロッパ産種は、幼虫の食草も習性もアジアのものとかなりよく似ている。

[井上 寛]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「アワノメイガ」の意味・わかりやすい解説

アワノメイガ

鱗翅(りんし)目メイガ科の1種。小さなガで,開張30mm内外,黄褐色,不規則な斑紋がある。幼虫はアワ,トウモロコシ,キビなどの茎や穂に食い入る害虫。成虫は年1〜3回発生,特に夏に多い。日本全土のほかアジア,ヨーロッパ,北アメリカなど北半球温帯から寒帯に分布。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android