イワヒメワラビ(英語表記)Hypolepis punctata(Thunb.)Mett.

改訂新版 世界大百科事典 「イワヒメワラビ」の意味・わかりやすい解説

イワヒメワラビ
Hypolepis punctata(Thunb.)Mett.

本州以南の暖地の林縁や明るい林床,草地に普通にみられるコバノイシカグマ科の多年生シダ植物。根茎は長くはう。葉は3~4回羽状に切れこみ,長く伸びてやぶ状のしげみを作ることが多い。全体に白色のやわらかい腺毛があり,若葉はいくらかねばつく。胞子囊群は脈の先端につき,葉の裏面に位置して,包膜をつけない。好条件下では,葉の形は展開時に決まってしまうことがなく,ウラジロのように生長がほとんど無限に続く習性がある。葉柄の下部から走枝(腋外芽(えきがいが))を出す。葉の展開のしかたではワラビに似るが,生育場所として日陰や多湿・富栄養下を好み,すみ分けている。若芽の味は悪くないが,舌ざわりはワラビより劣る。中国から東南アジアの山地を中心に広く分布している。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イワヒメワラビ」の意味・わかりやすい解説

イワヒメワラビ
いわひめわらび / 岩姫蕨
[学] Hypolepis punctata Mett.

イノモトソウ科の夏緑性シダ。ワラビのように長く匍匐(ほふく)する根茎から、ヒメワラビのように2~3回羽状に分裂する葉をまばらに分出する。全体に白色の柔らかい毛を密生しているので、ワラビやヒメワラビと区別できる。裂片は長楕円(ちょうだえん)形で鈍頭、浅く裂け、中脈と縁の中間に小円形の胞子嚢(ほうしのう)群を生じるが、包膜を欠く。葉柄は毛の落ちた跡が残ってざらざらする。宮城県、秋田県以南の暖地の明るい草原や林の周縁に生育する。

西田 誠]

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