ウスベニニガナ(英語表記)Emilia sonchifolia (L.) DC.

改訂新版 世界大百科事典 「ウスベニニガナ」の意味・わかりやすい解説

ウスベニニガナ
Emilia sonchifolia (L.) DC.

アフリカからアジアの熱帯亜熱帯にかけて広く分布するキク科一年草琉球ではやや普通にみられるが,静岡県以西の本州四国,九州の暖かい地方では夏季にしか姿を見せない。熱帯域では開花前の植物体を野菜とする。草丈は40cm内外。茎は細く,しばしば基部で分枝し,数本が傾上する。下葉には翼のある柄があり,葉身が円い。上葉は基部が茎を抱くようにつき,卵状披針形である。上・下葉とも縁には突起があり,茎とともに粉緑色である。花期は8~10月。花は多数の筒状花からなる頭花で,つぼみのときには総苞につつまれて下を向き,開花時には上を向く。総苞片と筒状花はほぼ等長なので,開花時でも筒状花は先端が少し見えるだけである。淡紫紅色で目だたないが,開花後,純白色の冠毛が開くと目につく。観賞用として植栽されるベニニガナE.sagittata(Vahl.)DC.の花はより紅色が濃く,筒状花が総苞片より長い。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウスベニニガナ」の意味・わかりやすい解説

ウスベニニガナ
うすべににがな / 薄紅苦菜
[学] Emilia sonchifolia (L.) DC.

キク科(APG分類:キク科)の一年草。高さ40センチメートル。名は、植物体の形や大きさがややニガナ(キク科の多年草)に似るのでつけられたが、ニガナとは直接の類縁関係はない。ニガナとは異なり、葉をちぎっても乳液は出ない。また、ニガナの小花は両性舌状花であるが、本種の小花は両性の筒状花である。ウスベニは小花の花冠が淡紅色であることによる。葉の裏が紅紫色となるものもある。世界の熱帯に分布し、日当りのよい土手や道端に生え、沖縄ではよくみかけるが、九州、四国、本州ではそれほど多くない。アジアとアフリカの熱帯地域に広く分布する。

小山博滋 2022年1月21日]

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