日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニガナ」の意味・わかりやすい解説
ニガナ
にがな / 苦菜
[学] Ixeridium dentatum (Thunb.) Tzvelev subsp. dentatum
Ixeris dentata Nakai
キク科(APG分類:キク科)の多年草。茎は細く、高さ約30センチメートル。切ると乳液が出る。葉は倒披針(とうひしん)形で不規則に羽裂し、縁(へり)に歯牙(しが)がある。茎葉は耳状に茎を抱く。4~7月、径約1.5センチメートルとやや小さな黄色ときに白色の頭花を多数つける。頭花は5~7個の舌状花のみからなる。痩果(そうか)は汚白色の冠毛があり、風で散布する。人里の道端や低山に普通に生え、日本全土および朝鮮半島、中国に分布する。名は、かむと苦味があるのでいう。本種は変異に富み、多くの亜種、変種、近縁種がある。小花数が7~11個のものをハナニガナ(オオバナニガナ)、その白色花品をシロバナニガナという。また、タカネニガナは高山の岩場に生え、高さ約10センチメートル。やや大きな頭花をつけ、茎葉は茎を抱かない。ニガナ属は東アジアの固有属で約20種あり、日本にはハマニガナ、ジシバリ、カワラニガナなど10種分布する。このうちニガナとその近縁種はニガナ属(Ixeridium)として独立した。
[森田龍義 2022年3月23日]