エキソ(英語表記)exo

改訂新版 世界大百科事典 「エキソ」の意味・わかりやすい解説

エキソ
exo

元来は,〈外,外部〉を意味するギリシア語に由来する接頭語。〈内,内部〉を表す接頭語エンドendoと対をなす。有機化合物立体化学命名法で,エキソは,もともとショウノウのような二環式化合物の主橋状基に,より近い位置を示すための接頭語として用いられた。

 たとえばイソボルネオールの水酸基-OHは主橋状基-C(CH32-に近いのでエキソ型,ボルネオールの水酸基はこれに対してエンド型である。一般にエンド位置に比べてエキソ位置は立体障害が少ない。

 ディールス=アルダー反応(ジエン合成)の生成物の命名にも,この接頭語が用いられる。たとえばジシクロペンタジエンの2種の二量体はエキソ型とエンド型で区別できる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

化学辞典 第2版 「エキソ」の解説

エキソ
エキソ
exo

外側の”を表す用語.脂環式炭化水素,とくに架橋鎖によって固定された構造をもつビシクロ環化合物の立体化学を記述する際に用いられる.“内側の”は,エンド(endo)で表す.ビシクロ環化合物の置換基について,もっとも構成原子数の少ない架橋炭素鎖を主橋とし,これを含まない環上で,主橋と同じ側に置換基がある場合,その置換基はエキソ位置にあるといい,その化合物をエキソ形という.たとえば,2-ノルボルニルアルコールには2種類の立体異性体が存在するが,ヒドロキシ基がメチレン架橋鎖と同じ側にあるものをエキソ形といい,反対側にあるものをエンド形という.また,単環式化合物の置換基が環外にあることを示す場合にも用いられ,とくに,環を構成する炭素に結合した=CH2基をエキソメチレンという.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報