ディールス(読み)でぃーるす(英語表記)Otto Paul Hermann Diels

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ディールス」の意味・わかりやすい解説

ディールス
でぃーるす
Otto Paul Hermann Diels
(1876―1954)

ドイツの有機化学者。1月23日ハンブルクの生まれ。ベルリンで化学を学び学位取得(1899)、E・フィッシャーに学び、ベルリン大学準教授(1914)、キール大学教授(1916~1948)。おもな業績には以下のようなものがある。(1)マロン酸水素化による亜酸化炭素の発見とその性質について(1906)、(2)コレステリン胆汁酸など炭化水素セレンにより脱水素し、ディールスの炭化水素C18H16を導き(1935)、ステリン炭素骨格の構造研究に貢献、(3)ディールス‐アルダー反応として知られるジエン合成(1928年より弟子アルダーとともに研究着手)の方法を大成し、付加反応の性質の解明や、環状化合物の合成や、共役二重結合を分析的に測定する方法に役だてた。これによって、各種の重合が行われ、化学工業や香料工業の発達が促され、1950年、アルダーとともにノーベル化学賞を受けた。3月7日、キールで没した。

[岩田敦子 2019年2月18日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ディールス」の意味・わかりやすい解説

ディールス
Diels, Otto Paul Hermann

[生]1876.1.23. ハンブルク
[没]1954.3.7.
ドイツの有機化学者。ベルリン大学の E.フィッシャーのもとで学び,ベルリン大学教授 (1914) ,キール大学教授 (16~45) を歴任。 1906年,きわめて反応性の高い亜酸化炭素 (無水マロン酸) を発見し,この性質と化学組成を決定した。また金属セレンを使って,種々の有機分子の水素を除去する脱水素反応の簡単な方法を発見した。彼の最も有名な研究は弟子の K.アルダーと共同で発見したジエン合成であり,現在ディールス=アルダー反応として知られる。この反応により,炭素・炭素二重結合を2個有するジエンから多くの有機化合物を合成し,得られた化合物の分子構造を解明し,この反応が合成ゴムやプラスチックの製造に特に重要であることを示した。アルダーとともに 50年ノーベル化学賞を受賞。

ディールス
Diels, Hermann

[生]1848.5.18. ビーブリヒ
[没]1922.6.4. ベルリン
ドイツの古典文献学者,哲学史家。 1886年ベルリン大学教授。ギリシア哲学の文献の校訂,注釈の仕事が多く,特にソクラテス以前の哲学史研究で有名。主著『パルメニデス』 Parmenides (1897) ,『ヘラクレイトス』 Herakleitos (1901) ,『ソクラテス以前の哲学者断片集』 Die Fragmente der Vorsokratiker (3巻,03) 。

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