出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
… この《デカメロン》は,手書きとして,イタリア中にひろがり,フランコ・サッケッティ,ロル・ジョバンニ・フィオレンティーノ,マスッチョ・サレルニターノ,マッテオ・バンデロのようなルネサンス短編小説作家に引き継がれたが,16世紀には,教会や聖職者の神聖を冒瀆(ぼうとく)する不敬の書としてローマ教皇庁の禁書目録に加えられた。というものの,写本のままこの小説集がヨーロッパ世界にひろがって愛読された結果,イギリスではチョーサーの《カンタベリー物語》,フランスではナバール王妃マルグリットの《エプタメロン》などが生まれ,近代文学とつながっていった。 日本では明治時代に尾崎紅葉がこの著の一編を翻案して《鷹料理》を著したほか,二,三の翻案が見られたが,肝心の艶笑談は紹介されたこともなかった。…
…多忙な公務の余暇に宗教的想念に満ちた抒情詩や宗教劇・俗劇を残したが,いずれも真の愛の探究や愛の渇望,あるいは形式化した信仰の風刺をテーマとする。代表作とされる《エプタメロンHeptaméron》(1559)もまた,《デカメロン》に枠組みを借り艶笑文学的題材を扱いながら,人間的愛憎の諸相に対する鋭い観察と,〈愛とは何か〉という一貫した問いかけによって,近代心理小説への道を開いている。【二宮 敬】。…
※「エプタメロン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
貨幣 (名目) 賃金額を消費者物価指数でデフレートしたもので,基準時に比較した賃金の購買力を計測するために用いられる。こうしたとらえ方は,名目賃金の上昇が物価の上昇によって実質的には減価させられている...