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愛欲 あいよくkāma

翻訳|kāma

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

愛欲
あいよく
kāma

仏教用語。仏教における愛には,愛,親受,楽,愛欲,渇愛などがあるが,そのなかで性的な愛を愛欲という。インド人は,古来,人生の3 (または4) 目的として,義務を実行すること (ダルマ) ,財産を蓄積すること (アルタ) ,性愛を正しく享楽すること (カーマ) ,および輪廻の超越 (モークシャ) を立てた。カーマに関しては,その要綱書として『カーマ・スートラ』がつくられ,特に上流の人々に大きな影響を及ぼした。これに対し仏教は,特に初期仏教において愛欲を強く否定し,修行者にこれを超越することを要求している。ジャイナ教においても同様である。大乗仏教では,その重要な特質の一つである在俗の修行者を認める立場から,愛欲を否定せず,愛欲は統制されるべきものと考えられ,ほかの本能とともに,それを契機として悟りを得ることができると考えられるようになった。日本の仏教にあっては,鎌倉時代以後,愛欲を基本的に否定しようとするもの,愛欲を肯定しそのなかに生じる罪の意識や無常観をもとに阿弥陀仏の救済を求める浄土教,愛欲の生活にありながらも題目を称えることによって浄化されるとする日蓮仏教,の3つの傾向が生れた。

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デジタル大辞泉の解説

あい‐よく【愛欲/愛×慾】

異性への性的な欲望。「―におぼれる」
仏語欲望に執着すること。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の愛欲の言及

【愛】より

…もっとも重要な原語(梵=サンスクリット語,巴=パーリ語)に,標準的な漢訳と解説を付加すると,以下のようになる。 梵巴〈カーマkāma〉:〈愛・愛欲〉。原義は〈欲求〉一般であるが,しばしば〈愛欲・性愛・性行為〉を指し,インドでは古来,人生の三(ないし四)大事と認められているが,仏教では,もちろん,否定されるべき〈煩悩〉とみなされる。…

【歴史】より

…しかし,インド人は現実に背を向けてきたわけではない。彼らが〈実利(アルタartha)〉と〈愛欲(カーマkāma)〉を〈法(ダルマdharma)〉〈解脱(モークシャmokṣa)〉と並ぶ人生の目的として掲げていたことはよく知られている。また王侯が刻ませた碑文には,歴年,王家の系譜,場所,事件などが具体的に記されており,彼らが〈過去〉〈現在〉に強い関心をもっていたことがわかる。…

※「愛欲」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

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