オリンポスの果実(読み)オリンポスノカジツ

デジタル大辞泉 「オリンポスの果実」の意味・読み・例文・類語

オリンポスのかじつ〔‐のクワジツ〕【オリンポスの果実】

田中英光小説。昭和7年(1932)のロサンゼルスオリンピックにボート選手として参加した、著者自身の経験もとに書かれた青春小説。昭和15年(1940)「文学界」誌に発表同年、第7回池谷信三郎賞受賞。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オリンポスの果実」の意味・わかりやすい解説

オリンポスの果実
おりんぽすのかじつ

田中英光(ひでみつ)の中編小説。文壇へのデビュー作で、1940年(昭和15)9月『文学界』に発表。同年高山書院刊。ロサンゼルスでのオリンピック大会に向かう船中で知り合った女子選手との恋を回想的に描いたこの小説は、戦前の代表的な青春小説の一つになっている。「健康な肉体と柔らかな感性」とが、恋を知ることでどのような反応を示すことになるかを、主人公の不安と焦燥懐疑自虐を通して具体的に追求し、青春期固有の内的ドラマを鮮やかな形で形象化している。原題は『杏(あんず)の実』であったが、太宰治(だざいおさむ)の言によって改められた。

[島田昭男]

『『オリンポスの果実』(新潮文庫)』

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