改訂新版 世界大百科事典 「オルビエト大聖堂」の意味・わかりやすい解説
オルビエト大聖堂 (オルビエトだいせいどう)
Duomo, Orvieto
イタリアのオルビエトにある,イタリア・ゴシック様式を代表する大聖堂。13世紀末に着工し,幾多の建築家の手を経て17世紀に完成。半円形に突出した礼拝堂列をもつ矩形3廊式の会堂として計画されたが,補強の必要から内陣部に扶壁(バットレス)を設けて,14~15世紀に翼廊付きの現状へ改修し,ラテン十字形のプランとなった。ファサードを除く内外壁と内部列柱は石灰岩(白色)と玄武岩(暗灰色)の縞模様で表装され,シエナやフィレンツェの大聖堂と共通した意匠を示す。これに対し,精緻な石彫技術を駆使した大理石製ファサード(シエナの建築家ロレンツォ・マイターニのデザインによる)はモザイク壁画,ばら窓,尖塔,浮彫を備えて華麗な装飾美を誇るが,フランスのゴシック大聖堂がもつ極端な上昇感はなく,おおらかな落着きがみられる。内部左側廊にジェンティーレ・ダ・ファブリアーノの《聖母子》(1425),右袖廊サン・ブリツィオ礼拝堂にアンジェリコ,ゴッツォリ,シニョレリの壁画がある。
執筆者:日高 健一郎+生田 圓
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報