日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴッツォリ」の意味・わかりやすい解説
ゴッツォリ
ごっつぉり
Benozzo Gozzoli
(1421ころ―1497)
イタリア初期ルネサンスの画家。本名はベノッツォ・ディ・レーゼBenozzo di Leseで、金属細工の徒弟から身をおこし、一時フィレンツェのサン・ジョバンニ洗礼堂の門扉を制作中のギベルティの助手をつとめた。その後フラ・アンジェリコに従い、ローマとオルビエートでこの画家の制作に協力した。彼の名声を高める契機となった作品は、メディチ家から委嘱されてフィレンツェのパラッツォ・メディチの礼拝堂の壁面に描いた『三王のベツレヘムへの行列』(1459~1460)である。三つの壁面に展開するこの連作には彼の旺盛(おうせい)な想像力がよく発揮されている。1463~1465年にサン・ジミニャーノでサン・タゴスティーノ聖堂の装飾を終えたのち、ピサに前後17年間滞在し、カンポサントの壁面に旧約聖書を主題とする大フレスコ画(第二次世界大戦で被爆)を完成。ゴッツォリは、新様式の開拓よりは、優美で機知に富む物語表現を得意とする、優れた風俗画家といえる。
[濱谷勝也]