ゴッツォリ(読み)ごっつぉり(英語表記)Gozzoli

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴッツォリ」の意味・わかりやすい解説

ゴッツォリ
ごっつぉり
Gozzoli
(1420―1497)

イタリア初期ルネサンスの画家。本名はベノッツォ・ディ・レーゼBenozzo di Leseで、金属細工の徒弟から身をおこし、一時フィレンツェ洗礼堂の門扉を制作中のギベルティの助手をつとめた。その後フラアンジェリコに従い、ローマとオルビエートでこの画家の制作に協力した。彼の名声を高める契機となった作品は、メディチ家から委嘱されてフィレンツェのパラッツォ・メディチの礼拝堂の壁面に描いた『三王のベツレヘムへの行列』(1459~63)である。三つの壁面に展開するこの連作には彼の旺盛(おうせい)な想像力がよく発揮されている。1463~65年にサン・ジミニャーノでサン・タゴスティーノ聖堂の装飾を終えたのち、ピサに前後17年間滞在し、カンポサントの壁面に旧約物語を主題とする大フレスコ画(第二次世界大戦で被爆)を完成。ゴッツォリは、新様式の開拓よりは、優美で機知に富む物語表現を得意とする、優れた風俗画家といえる。

[濱谷勝也]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゴッツォリ」の意味・わかりやすい解説

ゴッツォリ
Gozzoli, Benozzo di Lese

[生]1420. フィレンツェ
[没]1497.10.4. ピストイア
イタリアの画家。 1444年 L.ギベルティの助手としてフィレンツェ大聖堂の洗礼堂扉の彫刻制作にたずさわった。パラッツォ・メディチ・リカルディの壁画は 59年に取りかかり 60年に完成。 64年サンジミニャーノの『聖アウグスチヌス伝』壁画連作,68年にはピサ大聖堂のカンポサントに旧約聖書を主題とした一連のフレスコ画を描いた。アンジェリコとゴシック様式の絢爛たる絵画から装飾性を受入れると同時に,クァトロチェントのフィレンツェ派の様式を根強く伝承し,また世俗的情景を画面に巧妙に取入れて精彩に富んだ画風をつくり上げた。

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