オートバイ

デジタル大辞泉 「オートバイ」の意味・読み・例文・類語

オート‐バイ

《〈和〉auto+bicycleから》ガソリン機関による動力で走る二輪車自動二輪車。単車。モーターバイクバイク
[補説]英語ではmotorcycle; motorbike

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精選版 日本国語大辞典 「オートバイ」の意味・読み・例文・類語

オート‐バイ

  1. 〘 名詞 〙 ( 洋語auto bicycle の略 ) 小型エンジンで走る二輪車。スクーターサイドカーなども含み、自動自転車、自動二輪車、単車とも呼ばれる。オートバイク。モーターバイク。バイク。〔改訂増補や、此は便利だ(1918)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「オートバイ」の意味・わかりやすい解説

オートバイ

エンジンを装備した二輪車。〈オートバイ〉の名称は,登場初期のころ英語でオートバイシクルautobicycleと呼ばれていたのを日本式に略して生まれた日本語であり,現在,英語ではモーターサイクルmotorcycleと呼ぶのが一般的である。日本では小型のものをモーターバイクと呼ぶ場合も多く,またスクーターはオートバイの範疇(はんちゆう)に含めないのがふつうである。なお,〈道路交通法〉ではエンジンの排気量51㏄以上のものを自動二輪車,50㏄以下のものを原動機付自転車と呼んで区別している。

 1885年ドイツのG.ダイムラーが,ガソリンエンジンをサドルの下に取り付け,ベルトにより後輪を駆動させる二輪車を製作したのがオートバイの始まりである。欧米諸国では主として走行を楽しむスポーツ用として発展を遂げ,第1次および第2次世界大戦中はその機動力を生かし,伝令・斥候用,先導用として単体あるいは側車(サイドカー)をつけて多用された。日本に初めて輸入されたのは1900年ころであり,以後,おもに軍や警察などで用いられた。ちなみにオートバイを交通取締りに用いたのは18年からであり,当初は赤く塗装されていたことから赤バイの名で呼ばれていた。日本でオートバイの生産が本格化したのは第2次大戦後で,軍放出の携帯用通信機などの発電用エンジンを自転車に架装することから始まった。その後しばらくの間は,手軽な交通手段や荷物運搬の手段として使われていたが,しだいにオートバイが本来もっているスポーツ性が注目され,この分野での利用が急増した。日本はオートバイ生産台数,輸出台数とも世界一であるが国内の通常の販売網ではエンジンの排気量750㏄を上限とし,それを上回る排気量をもつ車種は行政指導で事実上販売できないため,輸出用として開発された1000~1200㏄の車種を逆輸入する現象もでてきている。

オートバイはその用途によって多種のものがあるが,大別すればスポーツ性を重視したタイプと,通勤,通学などの足がわりとして利用される比較的小型のタイプの2種になる。前者はさらに舗装道路を快適に走行することを第一義に考えたオンロードモデルと,路面状態を選ばずどんな悪路でも走行可能な性能をねらったオフロードモデルに分けられる。

運転装置は,基本的には自動車と変わらない構成となっている。そのおもなものは,右手操作のスロットルグリップ(自動車のアクセルペダルに相当)および前輪ブレーキレバー,左手操作のクラッチレバー,右足操作の後輪ブレーキペダル,左足操作のシフトペダルなどである(イギリス車は伝統的に右足シフトペダル,左足で後輪ブレーキペダルを操作する車種が多い)。

 オートバイを構成する要素を機能別に分けると,エンジン,クラッチ,トランスミッション,タイヤホイールフレームサスペンション,ブレーキなどになる。エンジンは,空冷式のガソリンエンジンがほとんどで,高性能をねらう車種には水冷式のものもある。また排気量250㏄前後を境とし,それ以下の車種では2サイクルエンジンを,それ以上の排気量の車種は4サイクルエンジンを採用するものが多い。エンジンの出力は1段減速された後クラッチを経て変速機に伝えられる。自動車の場合は,摩擦板(クラッチディスク)とこれをはさむ鋼板(プレッシャープレート)は各1枚ずつで構成されることが多いが,高回転型のエンジン特性をもつオートバイのクラッチは,これらを複数枚用いてトルク伝達容量を確保するとともに,慣性モーメントを小さくする設計がなされる。また変速機の潤滑油にクラッチを浸し,冷却作用を行わせる形式の湿式多板クラッチも用いられている。変速機は5段前後の変速段数をもつ車種が多く,歯車どうしはつねにかみ合った状態で空転しており,必要な変速比の歯車のみを軸に固定しトルクを伝達する形式がとられる。このほか,大型車では流体自動変速機,小型車ではベルトを用いた簡便な自動変速機も採用されている。変速機からのトルクは,ふつうチェーンを用いて後輪へ伝達するが,チェーンの代りに回転軸を用いてトルクを後輪へ伝達する方式(シャフトドライブ方式)もある。タイヤを装着するホイールは,リムをスポークでハブに固定する形式が多いが,最近では重量軽減,組立精度の向上および保持性,生産性,デザイン上の自由度など多くの利点で,アルミダイカスト製のホイールの採用が漸増している。ブレーキはドラムブレーキが一般的で,高性能車には,激しい制動時にも安定した効きを示すディスクブレーキが採用される。フレームは,サスペンションを介して前後輪を支持し,エンジン,シート,ガソリンタンクのほか,すべての機能部品が取り付けられる。フレームには重量が軽く,かつ剛性が高いことが要求されるため,ふつう鋼管溶接構造とする。サスペンションは,走行中の路面からの衝撃を吸収するとともに,車輪をつねに路面に接地させる役目をもち,操縦性,安定性に寄与する重要な機能を果たす。前輪サスペンションは,望遠鏡のように内筒と外筒とが伸縮する機構をもつフォークで車輪を左右から支え,内部にコイルばねとショックアブソーバーが組み込まれる形式が多い。後輪サスペンションは,前方にピボットをもつアームで車輪を支持し,スプリングとショックアブソーバーが一体になったコイルダンパーユニットでフレームに取り付けられる。

オートバイはもっとも手軽な乗物の一つであるが,それだけに事故も起きやすく,かつ大事故につながりやすい。このため公安委員会所属の組織として,各都道府県下に二輪車安全運転推進委員会が設置され,各メーカーの協力の下,安全運転の普及がはかられている。一方,高等学校では生徒の取得免許証の一時預りなどを実施するなどの現象も現れている。
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第2次大戦後,日本のオートバイ生産は1946年に早くも再開され,経済の復興と歩調を合わせて生産台数は増加の一途をたどった。60年には生産台数が100万台を超え,フランスを抜いて世界第1位の生産国となった。国内市場は62年以降減少傾向にあったが,76年以降いわゆる〈ファミリー・バイク〉のヒットで急増した。輸出はほぼ一貫して高い伸びを示し,1962年にはフランス,イタリア,西ドイツを一気に抜いて同じく第1位になった。このころから,日本製オートバイがヨーロッパの国際レースで優勝するようになり,性能のよさが世界に認められるようになった。日本のメーカーは,72年以降,シェア順に本田技研工業,ヤマハ発動機(ヤマハの直系子会社),スズキ,川崎重工業の4社であるが,本田,ヤマハ,スズキの大手3社で90%余のシェアをもつ。また世界のオートバイ生産の過半を占め,2位,3位のイタリア,台湾を大きく引き離している。保有台数でも世界第1位である。生産車種別では,外国の生産がモペット(ペダルのついた原動機付自転車,排気量は通常50㏄以下)や排気量の小さい小型車に集中しているのに対し,日本は小型車から大型車まで幅広く生産し,モペットを除いたモーターサイクルでは日本の世界市場に占めるシェアは約8割と圧倒的である。輸出市場に占めるシェアも約8割で,イタリア,フランスを寄せつけず,車種別では日本の輸出のほとんどが51㏄以上であるのに対し,イタリアやフランスは大半がモペットである。輸出比率(輸出台数/国内生産台数)が6~7割に達しているにもかかわらず,海外に有力な競合メーカーがほとんどないので,これまで四輪車のような貿易摩擦問題はほとんど表面化しなかったが,アメリカ唯一のメーカーのハーレー・ダビッドソン社(1300㏄クラスの大型車が中心)が経営危機に陥ったことから82年9月問題化し,輸入規制が実施された。各社とも比較的早くから中進国,途上国を中心に現地生産を進めており,本田と川崎はアメリカにも現地工場がある。
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百科事典マイペディア 「オートバイ」の意味・わかりやすい解説

オートバイ

autobicycleの日本式略。エンジンを装備した二輪車。一般的にスクーターは含めない。エンジンは排気量250cc以下のものは2サイクル,それ以上のものでは4サイクルが普通。空冷式が大半を占めるが,高性能化を目的に水冷式を採用しているものもある。戦後ほそぼそと始まった日本のオートバイ産業は,その後は名実ともに世界一に成長をとげた。交通法規上は総排気量により,51cc以上のものを自動二輪車(大型自動二輪車,普通自動二輪車),50cc以下のものを原動機付自転車と区分している。
→関連項目オートバイ競走

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デジタル大辞泉プラス 「オートバイ」の解説

オートバイ

株式会社モーターマガジン社が発行するオートバイ雑誌。1923年創刊。二輪車に関する情報を紹介。月刊。

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