ディスクブレーキ(読み)でぃすくぶれーき(英語表記)disk brake

翻訳|disk brake

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ディスクブレーキ」の意味・わかりやすい解説

ディスクブレーキ
でぃすくぶれーき
disk brake

自動車制動装置の一型式。車輪とともに回転する鉄製ディスク円盤)を、両側から摩擦材のパッドで挟み付けて止める。ディスクはつねに気流にさらされて放熱しているので、ドラムブレーキのようなフェード現象はおきにくい。初め着陸速度の高いジェット機用として開発されたが、1950年代に入ってレーシングカーに使用されるようになり、今日では日本の軽自動車を含めてほとんどすべての乗用車と、スポーツ用オートバイに用いられている。

 駐車ブレーキとしての能力は低いので、通常の実用車では、重要な前輪だけにディスクブレーキを用い、後輪はドラムブレーキですませるのが普通である。またドラムブレーキのようなセルフサーボ(自己倍力)効果はほとんど望めないので、速い車や重い車では別にバキュームサーボ(真空倍力)装置を備える必要がある。最近ではレーシングカー、とくに速度の高い車、重量の大きい車などでは、ディスクを二枚にし、間を冷却気が通るベンチレーテッド・ディスクブレーキも使われている。

[高島鎮雄]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ディスクブレーキ」の意味・わかりやすい解説

ディスクブレーキ
disc brake

摩擦ブレーキ一種。円板状のブレーキ輪の側平面にブレーキ片 (ブレーキパッド) を押しつけ,その摩擦力で制動する。円板を1枚用いる単円板式と2枚以上用いる複式があり,湿式と乾式に分けられる。パッドは,スチール繊維,銅繊維,ガラス繊維,セラミック繊維などを基剤とし,それをフェノールを結合剤として加工,成型する。ブレーキ輪には,鋳鋼,ステンレスなどが用いられる。高温でもよくきき,フェード現象 (高速時や長時間制動の際に温度上昇のため摩擦力が低下してブレーキのききが悪くなること) が少くて安定した制動力が得られる。自動車や鉄道車両では,取付け空間の制約から単円板式で,ブレーキ輪を両側面からブレーキパッドではさみ込む形式のものが多い。航空機では通常複式である。

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