カシミール語(読み)カシミールご(英語表記)Kashmiri language

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カシミール語」の意味・わかりやすい解説

カシミール語
カシミールご
Kashmiri language

正しくはカーシミーリー語といい,カシミール地方に住むおよそ 200万~300万の人々に話されている言語。インド=イラン語派に属し,いわゆるダルド諸語一つであるが,単語の多くをサンスクリット語から取入れている。またイスラム教徒支配が長かったため,ペルシア語アラビア語からの借用語も多い。母音の数は多く,マートラー母音 mātrā vowelsと呼ばれる母音がその前の音節の音を変える,いわゆるウムラウトの働きをもつことが特徴。また,代名詞的接尾辞を用いる活用にも特徴がある。文字はナーガリー文字に近いシャーラダー文字が母音の転写に適しているが活字がなく,印刷にはナーガリー文字かアラビア文字を用いる。

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百科事典マイペディア 「カシミール語」の意味・わかりやすい解説

カシミール語【カシミールご】

インド・ヨーロッパ語族の近代インド語(インド語派)の一つ。カシミール渓谷を中心に話される。最古文献として14世紀の女流詩人ラール・デッドの詩が口伝されている。長くイスラム教徒の支配下にあったため,ペルシア語アラビア語からの借用語が多い。話し手の数は,約300万人。→カシミール

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世界大百科事典(旧版)内のカシミール語の言及

【インド[国]】より

…農村部から都市部への人口移動はかなり多く,また都市部のなかでは人口10万人以上の大・中都市の膨張が目だっている。 主要な言語として憲法にあげられたのはアッサム語(アッサミー)Assamī,ベンガル語(ベンガリー),グジャラート語(グジャラーティー)Gujarātī,ヒンディー語,カンナダ語Kannada,カシミール語(カシミーリー)Kashmīrī,マラヤーラム語Malayālam,マラーティー語,オリヤー語Oriyā,パンジャーブ語(パンジャービー)Punjābī,サンスクリット語,シンド語(シンディー)Sindhī,タミル語,テルグ語,ウルドゥー語の15であったが,92年の改憲によってこれにコンカン語,マニプル語,ネパール語が加わった。カンナダ,マラヤーラム,タミル,テルグの4語がドラビダ系(ドラビダ語族)に属し,マニプル語はシナ・チベット系に,他はインド・アーリヤ系(インド・ヨーロッパ語族)に属している。…

※「カシミール語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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