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カスピ海パイプライン戦争 かすぴかいぱいぷらいんせんそう

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知恵蔵2015の解説

カスピ海パイプライン戦争

カスピ海周辺や中央アジアエネルギー資源をいかにして国際市場に搬出するかは、国際戦略的な重要問題であり、ロシア、欧米、中国などがしのぎを削っている。ロシアはソ連時代に既に存在したロシア経由の石油・ガスパイプラインの利用を強く求めているが、欧米はロシアを迂回(うかい)する経路を強く支援し、既にバクートビリシ、ジェイハンを経由して地中海に石油を搬出するBTCパイプラインが完成している。中国はカザフスタンとの間で石油パイプラインを建設し、トルクメニスタンともガスパイプライン建設の合意をした。この状況の中で、アゼルバイジャンや中央アジア諸国は、資源をカードに多方位外交(多方位の駆け引き)を展開して、最大限の実利を得ようとしている。例えば、トルクメニスタンは中国へのガスパイプラインと、欧州に通じるカスピ海海底パイプラインと、ロシアへの沿カスピ海・パイプラインの計画を共に保持している。沿カスピ海・パイプライン建設は、2007年5月にロシア、カザフスタン、トルクメニスタンの間で合意された。ただ、トルクメニスタンはこのすべてを満たすだけの資源は保有していないといわれている。したがって、同国が多方位外交でメリットを引き出せるのは、最終決断を下すまでの間だけ、との見方がある。カザフスタンは中国と、2本目の石油パイプライン建設で合意をした。カザフスタンが望むならば、同国はBTCパイプラインに石油を送ることもできる。BTCパイプラインは、当初は経済的側面よりもロシアを迂回するという政治的側面が強かったが、カザフスタンが石油を送ることになれば、経済的な意味も十分持つようになる。資源の豊かなカザフスタンはユーラシア地域での主導権をとることを目指しており、ロシアも一目置かざるを得ない状況だ。07年10月にプーチン・ロシア大統領ナザルバエフ・カザフスタン大統領が会見した時は、ナザルバエフの強気が目立った。

(袴田茂樹 青山学院大学教授 / 2008年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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