キク科(APG分類:キク科)の耐寒性の一年草。種名はカモミルラが正しいが、一般にカミツレという。ヨーロッパから北アジアにかけての原産。全株無毛でよく分枝し、高さ50センチメートルくらい。葉は2~3回羽裂し、細く糸状をなして短い。全草芳香がある。夏、各枝の頂部に径2.5センチメートルの花をつけ、中心の管状花は黄色、周囲の舌状花は白色の頭状花をつける。頭状花を乾燥したものが民間薬の「カミツレ花」である。ヨーロッパでは古くから茶のように煎(せん)じたものを飲むと発汗、解熱に効があるといわれ、また口内炎、咽頭(いんとう)炎の消炎薬として用いられたり、芳香保温、浴用にも用いられる。園芸上マトリカリアとよんでいるものはTanacetum属のナツシロギクで、秋播(ま)き花壇、切り花、矮性(わいせい)種は鉢物にする。
[山口美智子 2022年2月18日]
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…同属には100種足らずがあり,そのうち10種くらいが栽培され,A.tinctoria L.のほか,健胃剤や強壮剤,ヒステリーの薬として有名なローマカミルレA.nobilis L.(英名camomile∥chamomile),一年草で白色花を咲かせ,切花に使われるキゾメカミルレA.arvensis L.などがある。カミルレはカミツレともいわれるが,これはオランダ名カミルレkamilleのなまったものである。花壇に植えたり,または切花用に使われる。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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