カミツレ(読み)かみつれ

精選版 日本国語大辞典 「カミツレ」の意味・読み・例文・類語

カミツレ

〘名〙 (kamille) (「カミルレ」に「加密列」「加密爾列」などと字をあてたのを読み誤ったもの) キク科の一、二年草。ヨーロッパ原産で、文政年間(一八一八‐三〇)に渡来し、観賞用、薬用に栽培される。茎は高さ三〇~六〇センチメートルになり、枝分かれする。葉は互生し、羽状に細かく分裂し、各裂片は短いひも状になる。夏、茎頂に直径二センチメートルの頭花を開く。中心花は管状花で鮮黄色、周辺花は一〇~一二個の舌状花白色。花頭を乾燥させたものも同じ名で呼び、発汗解熱剤に用いる。カモミール
※遠西医方名物考(1822)六「崎港(ながさき)在館の和蘭人苦薏を以て加密列(カミツレ)に充(あて)用ふと」

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デジタル大辞泉 「カミツレ」の意味・読み・例文・類語

カミツレ(〈オランダ〉kamille)

カミルレ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カミツレ」の意味・わかりやすい解説

カミツレ
かみつれ
[学] Matricaria chamomilla L.

キク科(APG分類:キク科)の耐寒性の一年草。種名はカモミルラが正しいが、一般にカミツレという。ヨーロッパから北アジアにかけての原産。全株無毛でよく分枝し、高さ50センチメートルくらい。葉は2~3回羽裂し、細く糸状をなして短い。全草芳香がある。夏、各枝の頂部に径2.5センチメートルの花をつけ、中心の管状花は黄色、周囲の舌状花は白色の頭状花をつける。頭状花を乾燥したものが民間薬の「カミツレ花」である。ヨーロッパでは古くから茶のように煎(せん)じたものを飲むと発汗、解熱に効があるといわれ、また口内炎、咽頭(いんとう)炎の消炎薬として用いられたり、芳香保温、浴用にも用いられる。園芸上マトリカリアとよんでいるものはTanacetum属のナツシロギクで、秋播(ま)き花壇、切り花、矮性(わいせい)種は鉢物にする。

[山口美智子 2022年2月18日]


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百科事典マイペディア 「カミツレ」の意味・わかりやすい解説

カミツレ

カミルレ,カモミールとも。ヨーロッパ原産のキク科の一〜二年草。ハーブとして広く栽培される。茎はなめらかで,高さ50〜80cm,葉は羽状に裂ける。夏,茎頂に径1.2〜2cmのキクに似た白色の頭花をつける。花を収穫し乾燥したものを茶として,また,発汗解熱剤として感冒内服。ふろに入れたり,リキュールなどの香りづけにも用いられる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カミツレ」の意味・わかりやすい解説

カミツレ

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世界大百科事典(旧版)内のカミツレの言及

【アンセミス】より

…同属には100種足らずがあり,そのうち10種くらいが栽培され,A.tinctoria L.のほか,健胃剤や強壮剤,ヒステリーの薬として有名なローマカミルレA.nobilis L.(英名camomile∥chamomile),一年草で白色花を咲かせ,切花に使われるキゾメカミルレA.arvensis L.などがある。カミルレはカミツレともいわれるが,これはオランダ名カミルレkamilleのなまったものである。花壇に植えたり,または切花用に使われる。…

※「カミツレ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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