日本大百科全書(ニッポニカ) 「カリンガ国」の意味・わかりやすい解説
カリンガ国
かりんがこく
Kaliga
インド南東部の海岸地方に位置し、現在のオディシャ(オリッサ)州とタミル・ナド州にまたがる地域にあった国。この国が歴史に登場するのは、マウリヤ帝国第3代のアショカ王(在位前268ころ~前232ころ)が、その即位後9年にこの地方を征服したときである。このときの戦争で10万人の兵士が殺されたが、王はその悲惨な結果を悔いて、以後、帝国支配の原理を、仏教の理想に基づく「法の支配」に転換したとされる。このとき以後、カリンガ地方は帝国から独立し、紀元前2世紀にはチェーチ朝が成立し、その第3代のカーラベーラ王のとき興隆し、ジャイナ教を保護したことで知られる。しかし、王の死後は衰えていった。
[山折哲雄]