ガンダイオード

デジタル大辞泉 「ガンダイオード」の意味・読み・例文・類語

ガン‐ダイオード(Gunn diode)

ガリウム砒素(GaAs)の半導体に高電圧をかけたときに振動電流が発生するガン効果を利用した、マイクロ波発振素子。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「ガンダイオード」の解説

ガンダイオード
ガンダイオード
Gunn diode

GaAsの小さな試料に直流電界を加えていき,あるしきい値を超えると,マイクロ波領域で発振が起こることをJ.B. Gunnが発見した.この発振動作は,半導体のバンド構造による直接の効果である.つまり,k空間におけるエネルギー値が,図に示したような物質があったとき,電界が弱い場合は,電子はエネルギーの低い1の伝導帯中で伝導しているが,高電界になると,2の谷のほうでの伝導が起こるようになる.この場合に,有効質量m1*m2* であると,移動度が μ1μ2 であるために,実効的に抵抗が高くなったことになり,負性抵抗が起こる.Gunnの観測した発振はこの負性抵抗によるもので,このような原理で動作するマイクロ波発振素子をガンダイオードという.この発振が観測されるためには,μ1μ2 より十分大きいこと,また,1と2のエネルギー差ΔEが,その半導体のバンドギャップより小さいことなどが必要である.ガン発振は,GaAsのほかに,InPやCdTeなどでも観測されており,発振器として従来のクライストロンなどに比べて,小型軽量で,電源が簡単などの利点がある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「ガンダイオード」の意味・わかりやすい解説

ガンダイオード
Gunn diode

ガン効果を利用し,マイクロ波帯の発振をするダイオード。n型のヒ化ガリウムGaAsやリン化インジウムInPなどに,数kV/cm程度の強い電界を加えると,周波数がダイオード中の電子の走行時間の逆数にほぼ等しい発振現象を生ずる。この現象は1963年にガンJ.B.Gunnにより発見され,ガン効果と呼ばれる。発振の物理的機構はリドリーB.K.Ridley,ワトキンスT.B.Watkins,ヒルサムC.Hilsumにより予測されていたように,低エネルギーの有効質量の小さいエネルギー帯中の電子が,高エネルギーの有効質量の大きいエネルギー帯に遷移することによるので,電子遷移デバイスともいう。インパットダイオードよりも出力は小さい。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガンダイオード」の意味・わかりやすい解説

ガンダイオード

「ガン効果ダイオード」のページをご覧ください。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

関連語をあわせて調べる

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、和歌山県串本町の民間発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げる。同社は契約から打ち上げまでの期間で世界最短を目指すとし、将来的には...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android