キシタバ(英語表記)Catocala patala

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キシタバ」の意味・わかりやすい解説

キシタバ
Catocala patala

鱗翅目ヤガ科のガ。前翅長 34~37mm。前翅は黄緑色を帯びた灰色で明瞭な黒色の横帯があり,樹皮に似る。後翅は黄色で,外縁に沿う黒色帯とその内側にU字形の黒色部分をもつ。食草はフジ。北海道,本州,四国,九州,中国,北インドに分布する。なおシタバガのうち,後翅に黄色部のあるものを俗にキシタバと呼ぶこともあり,日本では本種のほかにコガタキシタバ C. praegnax esther,ワモンキシタバ C. fulminea,ジョナスキシタバ C. jonasii,ウスイロキシタバ C. intactaなど十数種が知られている。愛好者の多いガの一群である。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「キシタバ」の意味・わかりやすい解説

キシタバ
きしたば / 黄下翅
[学] Catocala patala

昆虫綱鱗翅(りんし)目ヤガ科のシタバガ亜科に属するガ。はねの開張70ミリメートル内外。前翅は褐色系の樹皮状の斑紋(はんもん)を示すが、後翅は鮮やかな黄色の地に、内外2本の黒色帯をもつ。年一化性で、卵で越冬し、幼虫新緑のころフジの葉を食べて育つ。ガは7、8月ごろに現れ、樹液に集まる。本種を含むカトカラ属のなかには、本種と同様の黄色の後翅を有する種が多く、日本にも20種近くを産する。いずれも類似習性をもち、前翅は樹皮状の隠蔽(いんぺい)色。後翅の黒色帯の形状の差異は、交尾行動のとき種の認識に役だつという説もある。

[杉 繁郎]

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