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キッサン・サーペー Khitsan Sarpay

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

キッサン・サーペー
Khitsan Sarpay

キッサン文学。 1930年代,ビルマ (現ミャンマー) の文壇を風靡した新しい文学の潮流。「キッサン」は「時代の要請を探る」の意。王朝時代の文学作品がややもすれば虚飾に満ち冗長でさえあったのに対して,直截簡明を旨とし日常の身近かな事柄を率直に描く点が特徴といえる。西洋の近代的教養を身につけた知識人たちによって打立てられたその作風には,共通して西洋文学のリアリズムの影響が認められる。初期には酷評されたこともあったが,文芸の革新運動としての意義は大きく,その流れは,社会主義リアリズムを標榜する「新文学」や,マンダレーの作家グループを中心に実践されている口語体の文学につながっている。代表的な作家として,写実的で簡明な文体のテイパン・マウン・ワ,あでやかな文体に深い思想をこめる詩人ゾージー Zawgyi,哀愁を帯びた優美で絵画的な詩をうたう詩人ミントゥウン Minthuwun,古風な趣を新しい手法で描くテッカドウ・マウン・タン・シン Tetkatho Maung Thant Sin,ユーモアに富んだ作品を残したクタ Kuthaをあげることができる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

キッサン・サーペー
きっさんさーぺー
Hkitsan Sape

1930年代初頭から40年代にかけてビルマ(現ミャンマー)文壇を風靡(ふうび)した文学の一潮流。イギリス領植民地時代の行政官ファーニバルJ. S. Furnivallの助言に基づき、1928年「ビルマ教育普及協会」が設立される。この協会設立をきっかけとして「キッサン・サーペー」(「時代の要請を探る文学」の意)が誕生したという。キッサン・サーペーは、西欧の教養を身につけた知識層による新しい文学の試みで、当初はビルマ文学の伝統を破壊するものとして手厳しい批判を受ける。しかし簡潔な文体とリアリズム手法は、しだいに人々の心をとらえた。この文学運動により、現代ビルマ(ミャンマー)文学の基礎が確立したといわれる。代表的作家に、テイッパン・マウン・ワTheippan Maung Wa(1899―1942)、テッカトウ・マウン・タン・シンTetkatto Maung Thant Sin(1905― )、ゾー・ジーZawgyi(1908―90)、クタKutha(1908―76)、ミン・トゥ・ウンMinthuwun(1909― )らがいる。[奥平龍二]

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