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…こうしたジャンル以外にも場所,時間,人間関係などを極限状況に設定して,心理的,あるいは物理的アクションを生み出すという一つの典型的なパターンをふまえる映画は数多い。
[アクション映画の前史]
《大列車強盗》以前にエジソンは,〈ピープショー〉と呼ばれたのぞき式の〈キネトスコープ〉で,アクロバット,レスリング,芸をする犬や猫や熊,闘鶏,ベリー・ダンス,空中ブランコ,拳銃の曲射ち,バッファロー・ビルの率いる〈ワイルド・ウェスト・ショー〉といった寄席やサーカスや珍しいスポーツの妙技(スタントstuntと総称され,ここからスタントマンの名が生まれる)を撮影して見せていた。1896年に演芸場でのスクリーン映写(バイタスコープvitascopeと呼ばれた)が始まると,同じショーを生の舞台で見慣れてきた観客は,当然これらの白黒で無声の60秒程度の映像に〈複製〉された出し物にあきたらず,むしろ舞台では見られないもの,すなわち一方ではナイアガラ瀑布(ばくふ)や突進している機関車といった自然や機械の驚異,他方では鍛冶屋や歯医者や床屋や中国人の洗濯屋といった近所の日常的光景,そしてもちろん時事的な話題(大統領の選挙演説など)をスクリーンで見たがった。…
…1912年10月,フランスの連続活劇《ジゴマ》の公開反対キャンペーンを載せた《東京朝日新聞》の記事の見出しには,〈活動写真の映画(フィルム)に現れた犯罪鼓吹熱〉という表現が使われ,映画作品を指すことばに移りつつあることがわかる。 〈活動写真〉ということばはエジソンのキネトスコープの訳語で,1896年1月31日付の《時事新報》の記事の見出しに使われたのが最初だという。〈キネトスコープ〉が神戸に輸入されるのは同じ年の11月のことである。…
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【動く写真の到来――最初の日本映画】
日本における映画の歴史は1896年に始まる。この年,エジソンのキネトスコープが輸入され,神戸の神港俱楽部で初公開された。のぞき眼鏡式のものとはいえ,これが日本最初の映画興行である。…
※「キネトスコープ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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