キャベンディシュ研究所(読み)キャベンディシュけんきゅうしょ(その他表記)Cavendish Laboratory

改訂新版 世界大百科事典 「キャベンディシュ研究所」の意味・わかりやすい解説

キャベンディシュ研究所 (キャベンディシュけんきゅうしょ)
Cavendish Laboratory

イギリスのケンブリッジ大学付属物理学研究所。イギリスにおける自然科学の研究・教育の立遅れに対する内外の批判にこたえて,1874年,時の同大学総長デボンシャー公からの寄付金を基に設立された。初代所長のJ.C.マクスウェルをはじめ,レーリー卿,J.J.トムソン,E.ラザフォードなど,イギリスを代表する物理学者を指導者に迎え,19世紀末から20世紀後半にかけての物理学の革新と発展に重要な役割を果たした。とくに電磁気学原子物理学の分野では多く業績を出した。この研究所の成功は,歴代所長の卓抜した指導力に加えて,当初から学部レベルの教育実験に重きをおかず,研究中心主義を貫いたことによってもたらされたが,これを可能にした豊かな財政的基盤や,ケンブリッジにおける数学的伝統も忘れてはならない。第2次大戦後は生化学や分子生物学などの分野でも貢献している。創設以来今日に至るまで,20人を超える科学者が,この研究所で行った研究に対してノーベル賞(物理学賞,化学賞,生理・医学賞)を与えられている。
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百科事典マイペディア 「キャベンディシュ研究所」の意味・わかりやすい解説

キャベンディシュ研究所【キャベンディシュけんきゅうしょ】

ケンブリッジ大学に属する物理学研究所。同大学名誉総長デボンシャー公7世の全額寄付により1874年開所。デボンシャー公2世の孫に当たるキャベンディシュにちなみ命名。初代所長はマクスウェル。特に1895年以来,全世界からすぐれた物理学者が集まり,J.J.トムソンラザフォードらの指導下に物理学のメッカとなり,多くのノーベル賞受賞者を出した。
→関連項目コッククロフト

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世界大百科事典(旧版)内のキャベンディシュ研究所の言及

【トムソン】より

…マンチェスターのオーエンス・カレッジでは工学を学び,1876年に入学したケンブリッジ大学のトリニティ・カレッジでは数学を学んだ。同カレッジの特別研究員,講師を経て,84年にはレーリーのあとを継いでキャベンディシュ研究所の教授兼所長となった。気体中の電気伝導と放電現象の実験的研究に取り組み,気体中の電気伝導が分子の分解と関連するのではないかと考えて研究を行うが,現象そのものの複雑さや有効な実験装置の欠如によって明確な成果は得られなかった。…

※「キャベンディシュ研究所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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