コッククロフト(読み)こっくくろふと(その他表記)Sir John Douglas Cockcroft

デジタル大辞泉 「コッククロフト」の意味・読み・例文・類語

コッククロフト(John Douglas Cockcroft)

[1897~1967]英国物理学者。直流高電圧を発生する装置を作り、リチウムを用いて原子核の人工的変換に初めて成功。1951年、E=T=S=ウォルトンとともにノーベル物理学賞受賞

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精選版 日本国語大辞典 「コッククロフト」の意味・読み・例文・類語

コッククロフト

  1. ( Sir John Douglas Cockcroft サー=ジョン=ダグラス━ ) イギリスの物理学者。ウォルトンと協力して高電圧発生装置を考案。人工的に高速陽子を作り、原子核破壊の実験に初めて成功した。一九五一年ウォルトンとともにノーベル物理学賞を受賞。(一八九七‐一九六七

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コッククロフト」の意味・わかりやすい解説

コッククロフト
こっくくろふと
Sir John Douglas Cockcroft
(1897―1967)

イギリスの物理学者。ヨークシャーのトッドモーデンで生まれる。トッドモーデン中学で教育を受けたのちマンチェスター大学に入り、数学を学んだ。第一次世界大戦中には砲兵となったが、その後は電気工学を学ぶためにマンチェスターに戻った。2年間メトロポリタン・ビッカース電気会社で実習をしたのち、ケンブリッジのセント・ジョンズ大学にいき、1924年数学の卒業試験に合格した。

 キャベンディッシュ研究所のE・ラザフォードのもとで働き始めた彼の最初の仕事は、カピッツァとともに強磁場と低温をつくることであった。1928年からは原子核物理学の実験を開始した。E・T・S・ウォルトンと共同で行った1932年のリチウム原子核の変換実験は非常に重要なものであった。この実験によって初めて人類は、制御可能な実験装置を使って元素を人工的に変換することに成功した。またこの実験は、アインシュタインの質量とエネルギーの等価性についての法則を立証したり、ガモフやガーネイR.W.Gurney(1898―1953)、コンドンEdward Uhler Condon(1902―1970)らのα(アルファ)粒子のトンネル効果に関する理論を確証したりした。1920年代までの天然放射性線源を使う原子核実験の限界を超えて、1930年代は種々の加速器の登場によって原子核の実験的研究の全盛を迎える。コッククロフトらの研究はその端緒であった。1951年「加速粒子による原子核変換に関する先駆的研究」により、ノーベル物理学賞をウォルトンとともに受賞した。

[日野川静枝]

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百科事典マイペディア 「コッククロフト」の意味・わかりやすい解説

コッククロフト

英国の物理学者。マンチェスター大学,ケンブリッジ大学で学び,キャベンディシュ研究所に入ってラザフォードのもとで研究。カピッツァを助けて強磁場発生と低温実験に従事。E.T.S.ウォルトンと協力して高電圧発生装置を考案,1932年これを用いて加速した陽子をリチウム核に当てて二つのα粒子に変え,初めて人工加速粒子による原子核の人工破壊に成功した。1939年ケンブリッジ大学教授,1946年ハーウェル原子力研究所長,1959年イギリス原子力公社理事。1951年ウォルトンとともにノーベル物理学賞。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コッククロフト」の意味・わかりやすい解説

コッククロフト
Cockcroft, Sir John Douglas

[生]1897.5.27. ヨークシャー,トドモーデン
[没]1967.9.18. ケンブリッジ
イギリスの実験物理学者。マンチェスター大学,ケンブリッジ大学を卒業,キャベンディッシュ研究所に入り (1928) ,ケンブリッジ大学教授 (39) 。イギリス原子力研究所所長 (46) 。 1960年からはケンブリッジに新設されたチャーチル・カレッジの学寮長をつとめた。 1932年に E.ウォルトンと陽子の加速に成功,人工的に加速した陽子によってリチウム原子核を破壊し,史上初めて人工粒子線による核反応に成功した。その後原子核物理学の研究には加速器が不可欠の装置となった。 51年,ウォルトンとともにノーベル物理学賞を受け,53年バス上級勲爵士に叙せられた。

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