キロミクロン

化学辞典 第2版 「キロミクロン」の解説

キロミクロン
キロミクロン
chylomicron

カイロミクロンともいう.血中に存在し,食事由来の脂質運搬役としてはたらくリポタンパク質のうち,比較的大型(直径50~1000 nm)で比重が小さいもの.トリグリセリドコレステロールエステルリン脂質を主成分とする油滴表面に,輸送先を指定するためのタンパク質(アポリポタンパク質A,B,C)が配置されている.食物中の脂質は,消化酵素リパーゼによって分解され,腸管から吸収された後,小腸上皮細胞でふたたびもとの脂質に加工され,キロミクロンとして血中に分泌される.キロミクロンは,HDL,LDL,VLDL(very low density lipoprotein)ほどは均一でなく,性格もはっきりしていないが,食事後,血中に大量に現れ,血液白濁(chylus)することがあることからこの名がある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「キロミクロン」の解説

キロミクロン

 血漿中のリポタンパク質の一種で,小腸で食事脂肪が吸収されると,リポタンパク質が形成されてリンパ管に入るが,そのときに形成されるリポタンパク質.全身組織脂肪を運搬し最終的にキロミクロンレムナントとなり,肝臓その他の組織で分解される.食後血中に増加し血漿が濁ってみえる原因となるリポタンパク質.アポタンパク質としてはA-I,A-II,B-48,C-I,C-II,C-III,Eなどを含む.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のキロミクロンの言及

【リポタンパク質(リポ蛋白質)】より

…脂質とタンパク質の複合体の総称。大腸菌外膜の構成成分であるリポタンパク質のように,タンパク質部分と共有結合で結合した脂肪酸をもつ不溶性タンパク質もあるが,通常は血漿(けつしよう),卵黄,ミルクなどに存在する水溶性のものを指す。血漿中のものは比重の小さいものから,カイロミクロンchylomicron,超低密度リポタンパク質(VLDL),低密度リポタンパク質(LDL),高密度リポタンパク質(HDL),超高密度リポタンパク質(VHDL)に分類され,それぞれの間で脂質,タンパク質組成が異なる。…

※「キロミクロン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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