山川 世界史小辞典 改訂新版 「ギリシア人」の解説
ギリシア人(ギリシアじん)
Hellenes[古代ギリシア],Ellines[現代ギリシア],Greeks[英]
インド・ヨーロッパ語族の一派がバルカン半島の南端から島嶼部にかけて定住し古代ギリシア人の祖となった。彼らはオリエント諸文明との交渉を通して,ヘレネス(ギリシア人)意識を確立していった。しかし,バルカン半島では歴史を通じて諸民族の侵入と共生が繰り返されたため,近代のギリシア人を古代ギリシア人の直系の子孫とみなすことはできない。古代人とのつながりは血統ではなく,むしろ文化的な面,特にギリシア語の継承に求められよう。近代人のアイデンティティの基礎はギリシア語とギリシア正教である。19世紀末以降の移民によって,今日アメリカ,オーストラリアを中心とした海外にもギリシア・コミュニティが存在する。一方,黒海南岸やイタリア半島南端には古代以来のギリシア・コミュニティが存続している。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報