ヘレネス(読み)へれねす(英語表記)Hellenes ギリシア語

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヘレネス」の意味・わかりやすい解説

ヘレネス
Hellēnes

前7世紀頃からギリシア人が自己の民族を異邦人 (バルバロイ ) に対して呼んだ総称。もと南テッサリアのヘラスを中心に定着したギリシア人の一種族名で,彼らは伝説上の英雄ヘレンをみずからの祖と称していた。パンヘレネス (全ヘレネス) という語はホメロスにみられるが,その内容は確定しがたい。パンヘレネスを全ギリシア民族の総称として初めて用いたのはヘシオドスとされる。前6世紀の碑文で初めてヘレネスの語がバルバロイに対する全ギリシア人の総称として用いられた。前8世紀にギリシア中部のボイオチアからイタリアへ移住したグライオイ人にちなんで,ラテン人がギリシア人全体をグラエキ (グレキ) と呼んだのに対して,南イタリアのバルバロイは彼らをヘレネスと呼び,これがギリシアに逆輸入されてギリシア人全体の呼称になったとされている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘレネス」の意味・わかりやすい解説

ヘレネス
へれねす
Hellenes ギリシア語

古代ギリシア人の自称。最初はテッサリア南部のフティオティス地方の一部の住民をさし、ヘラスHellasと同じく使用範囲が南方に広がった。ホメロスはギリシア人をアカイア人などとよんだが、おそらくヘシオドスのころからヘレネスがギリシア人全体の呼び名となり、紀元前6世紀後半からは、異民族(バルバロイ)との対比優劣などが、彼らの大きな関心事となった。現代ギリシア語ではエリネスEllinesという。

[清永昭次]

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