ヘレネス(その他表記)hellēnes

デジタル大辞泉 「ヘレネス」の意味・読み・例文・類語

ヘレネス(〈ギリシャ〉Hellēnes)

古代ギリシャ人の自称。→バルバロイ

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精選版 日本国語大辞典 「ヘレネス」の意味・読み・例文・類語

ヘレネス

  1. 〘 名詞 〙 ( [ギリシア語] Hellenes ) ( 古代ギリシアの伝説的な英雄ヘレン子孫の意 ) 古代ギリシア人の自称。

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改訂新版 世界大百科事典 「ヘレネス」の意味・わかりやすい解説

ヘレネス
hellēnes

古代ギリシア人が自己の民族総称として用いた名称。その住む国土ヘラスhellasと呼ばれた。ホメロスヘシオドスの詩で,まず〈パンヘレネスpanhellēnes〉という語が用いられ,やがて〈ヘレネス〉だけでギリシア民族を指し,異民族を指すバルバロイと対立する概念となった。ギリシア語を話し,オリュンピア競技その他に参加して,共通の神々をあがめるのがその特徴であったが,さらに進んでヘレネスはすべて自由民であるべきであり,奴隷はバルバロイだけから供給すべきだとの思想も生じた。このように誇り高い名称であったが,キリスト教時代には逆転して異教的ギリシア人を指すようになる。
バルバロイ
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヘレネス」の意味・わかりやすい解説

ヘレネス
Hellēnes

前7世紀頃からギリシア人が自己の民族を異邦人 (バルバロイ ) に対して呼んだ総称。もと南テッサリアのヘラスを中心に定着したギリシア人の一種族名で,彼らは伝説上の英雄ヘレンをみずからの祖と称していた。パンヘレネス (全ヘレネス) という語はホメロスにみられるが,その内容は確定しがたい。パンヘレネスを全ギリシア民族の総称として初めて用いたのはヘシオドスとされる。前6世紀の碑文で初めてヘレネスの語がバルバロイに対する全ギリシア人の総称として用いられた。前8世紀にギリシア中部のボイオチアからイタリアへ移住したグライオイ人にちなんで,ラテン人がギリシア人全体をグラエキ (グレキ) と呼んだのに対して,南イタリアのバルバロイは彼らをヘレネスと呼び,これがギリシアに逆輸入されてギリシア人全体の呼称になったとされている。

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百科事典マイペディア 「ヘレネス」の意味・わかりやすい解説

ヘレネス

古代ギリシア人が自分たちの民族の総称として用いた語で,デウカリオンの子ヘレンの子孫の意。元来は一小部族の名称で,古くはギリシア人全体をパンヘレネスとも呼んだ。またギリシア人の国土をヘラスhellasと称した。→バルバロイ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘレネス」の意味・わかりやすい解説

ヘレネス
へれねす
Hellenes ギリシア語

古代ギリシア人の自称。最初はテッサリア南部のフティオティス地方の一部の住民をさし、ヘラスHellasと同じく使用範囲が南方に広がった。ホメロスはギリシア人をアカイア人などとよんだが、おそらくヘシオドスのころからヘレネスがギリシア人全体の呼び名となり、紀元前6世紀後半からは、異民族(バルバロイ)との対比優劣などが、彼らの大きな関心事となった。現代ギリシア語ではエリネスEllinesという。

[清永昭次]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ヘレネス」の解説

ヘレネス
Hellenes

古代ギリシア人の自称。英雄ヘレンの子孫の意で,その子ドロス,アイオロスクストスおよびクストスの子イオン,アカイオスから,ドーリア人アイオリス人イオニア人アカイア人が出たという。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ヘレネス」の解説

ヘレネス
Hellenes

ギリシア人がみずからをさす美称
共通の祖先ヘレン(Hellen)から生まれたという神話と民族的自覚が結合したもの。ヘレンの3子ドロス・クストス・アイオロスがそれぞれドーリア人・イオニア人・アイオリス人の祖とされている。

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世界大百科事典(旧版)内のヘレネスの言及

【デウカリオン】より

…水が引いてから,人類の回復を願う二人に,母の骨を背後に投げよとの託宣があり,これを石と解した二人が肩越しに石を投ずると,デウカリオンの投げた石は人間の男に,ピュラのそれは女になった。こうしてギリシア人の祖先たるヘレンHellēnが生まれたことにより,古代のギリシア人はみずからをヘレネスHellēnes,国土をヘラスHellasと称するようになったという。【水谷 智洋】。…

※「ヘレネス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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