日本大百科全書(ニッポニカ) 「クエン酸発酵」の意味・わかりやすい解説 クエン酸発酵くえんさんはっこう 糖を分解してクエン酸を蓄積する発酵をいう。酸化発酵の一種で、クロカビ、アオカビなどのカビ類にみられる。クエン酸の製造は従来柑橘(かんきつ)類からの抽出に頼っていたが、現在ではほとんど発酵法によっている。全反応は次式で表される。好気的代謝を行う生物では、糖は通常ピルビン酸に分解され、それがTCA回路に入って完全に酸化を受けるが、クエン酸発酵は、TCA回路がクエン酸のところで止まったものと考えられる。工業的には糖蜜を原料としクロカビAspergillus nigerを用い、酸性条件下で発酵生産されている。[伊藤菁莪] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例 Sponserd by
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クエン酸発酵」の意味・わかりやすい解説 クエン酸発酵クエンさんはっこうcitric acid fermentation クエン酸を微生物を用いて生産する方法。クエン酸は柑橘類に多く含まれており,その果汁から製造されるが,発酵法によっても生産しうる。デンプンなどの糖質からの生産にはクロカビ Aspergillus nigerが用いられており,表面培養法あるいは液内培養法で行われる。培地中の炭素源と窒素源との量比を高くし,pHを酸性に保つとともに適当な通気をすることによって,クエン酸生産量が高まる。ノルマルアルカンからも高い収率で生産することができ,この場合には,クエン酸をイソクエン酸に変換する酵素アコニターゼの活性が低いカンジダ属 Candida酵母の変異株が使われる。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by
化学辞典 第2版 「クエン酸発酵」の解説 クエン酸発酵クエンサンハッコウcitric acid fermentation グルコースからピルビン酸,オキザロ酢酸を経てクエン酸を生産する発酵法.糸状菌Aspergillus nigerが利用される. 出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報 Sponserd by