クロキ(読み)クロキ(その他表記)Symplocos lucida

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クロキ」の意味・わかりやすい解説

クロキ(黒木)
クロキ
Symplocos lucida

ハイノキ科の常緑小高木で,南関東以西の暖地照葉樹林に生える。高さ3~8m。幹,枝は黒褐色で,これが和名のもとと思われる。若枝は黄緑色で縦に4本の稜が走り,断面はほぼ四角形。葉は互生し長さ 1cmほどの柄があり,葉身は長さ4~8cmの細い楕円形で上半部の縁に低い鋸歯をもつ。春に,若枝の葉腋に黄白色の小花を集めてつける。花冠は浅い杯形で5片に分れ,多数のおしべが目立つ。果実は長卵形で紫黒色琉球列島小笠原諸島には近縁変種別種 (ムニンクロキ S.boninensisなど) が分化している。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロキ」の意味・わかりやすい解説

クロキ
くろき / 黒木
[学] Symplocos kuroki Nagam.
Symplocos lucida Sieb. et Zucc.

ハイノキ科(APG分類:ハイノキ科)の常緑高木。高さ6~10メートル。樹皮は黒灰色、若枝は淡緑色で稜(りょう)がある。葉は互生し、長楕円(ちょうだえん)形、長さ4~7センチメートル、革質で縁(へり)に波状鋸歯(きょし)がすこしある。3、4月、葉腋(ようえき)に白色の花が3~5個集まって開く。花冠は径約7ミリメートルで5深裂し、雄しべは約20本。果実は長楕円形、長さ1.0~1.5センチメートルで、秋に紫黒色に熟す。関東地方以西の本州四国、九州、沖縄、台湾、済州島に分布する。

小林義雄 2021年4月16日]

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世界大百科事典(旧版)内のクロキの言及

【ハイノキ】より

…近畿地方以西の本州と四国および九州に分布し,古い自然林内で群生しているところも多い。なお,同属のクロバイS.prunifolia Sieb.et Zucc.(イラスト)とクロキS.lucida Sieb.et Zucc.(イラスト)はともに常緑の小高木で,日本では本州から琉球まで見られる。またシロバイS.lancifolia Sieb.et Zucc.(イラスト)は近畿地方以西に分布する。…

※「クロキ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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