グライ化作用(読み)グライかさよう(その他表記)gleization

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グライ化作用」の意味・わかりやすい解説

グライ化作用
グライかさよう
gleization

土粒間のすきまが水分で満たされている場合に起る還元状態の発生と,それによる主として鉄分の還元化の作用。還元状態のもとで鉄分は二価鉄 (第一鉄) となり,水分に飽和された土壌層を酸化第一鉄によって青灰色に着色する。飽和帯の位置の変動によってそれまで還元状態にあった部分に空気が侵入すると,酸化作用が始って二価鉄が三価鉄 (第二鉄) となり,酸化第二鉄による赤褐色の斑紋を生じる。これらの現象は沖積平野をはじめ台地,丘陵上の局地的凹所など地下水位の浅い場所にみられ,降雨や季節ごとの地下水位の変動に応じてグライ化作用の進む深さや程度が決ってくる。またツンドラ地帯では,下層の永久凍土の上部に融雪水が停滞して排水不良となるためにグライ化が起る。人為的原因としては灌漑水を地表に冠水する水田耕作によって表面水グライ化作用が働く。また近年,都市地域の地下工事により地中から酸素不足の空気が溢出するのは,グライ化の進んでいた還元層に送り込まれた空気が,急激に酸化作用を強要された結果である。

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岩石学辞典 「グライ化作用」の解説

グライ化作用

排水が悪く低い酸素量の土壌に見られる還元過程をいう.グライ化作用やgleyingは水位が高ければ土壌断面に見られる.あるいは水の下向きの浸透が妨げられる場合には土壌断面の一部に限定されて見られる.鉄やマンガンは還元状態となり,形成される化合物は灰色から青緑色のグライに特有の色となる[Birkeland : 1974].この作用の結果土層中には青灰色ないし緑灰色のグライ層(G層)が形成される.

出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報

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