コウトウチュウ

改訂新版 世界大百科事典 「コウトウチュウ」の意味・わかりやすい解説

コウトウチュウ (鉤頭虫)

鉤頭動物門Acanthocephalaに属する無脊椎動物の総称哺乳類,鳥,魚など脊椎動物の消化管に内部寄生し,世界で約1000種ほどが知られている。体は細長く,短いのは1mmほどのものから60cm以上のものまである。体前部と胴部に区分され,体前部は吻(ふん)とくびからなる。吻の表面には鋭い鉤(かぎ)が一定の形に配列していて,これで宿主の腸壁にひっかかっている。くびは一般に短いが,クビナガコウトウチュウでは多少らせん状に巻いており,ニホンタマミコウトウチュウでは円錐状になっている。胴部は一般に円筒状で,大部分のものは平滑である。消化器官は退化していて,宿主の栄養を体表から吸収する。雌雄異体で,一般に雌のほうが大きい。虫卵は宿主の糞に混じって排出されると中間宿主に取り入れられ,腸壁から体腔にでて若虫になり被囊して終宿主の体内に入る機会を待つ。中間宿主は水中では甲殻類や水生昆虫,陸上では昆虫。ヒトの寄生虫としては外国に若干の例があるが,ほとんど問題にならない。

 タラコウトウチュウEchinorhynchus gadiは雌4.5cm,雄2cmほどで,タラ,スケトウダライシモチ,カレイ,タイ,サケなどの海産魚の腸にふつうに見られる。ダイコウトウチュウMacracanthorhynchus hirudinaceusは,この類最大の種類で,雌は65cmになり,ブタや他の哺乳類の消化管に寄生する。中間宿主はいろいろな甲虫
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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