コモンヤドカリ（読み）こもんやどかり（英語表記）white-spotted hermit crab

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

コモンヤドカリ
Dardanus megistos; white-spotted hermit crab

軟甲綱十脚目ヤドカリ科 Diogenidae（→ヤドカリ類）。甲長 5cmをこえる大型種で，体長約 20cm。甲，腹部，鋏脚，歩脚とも鮮やかな濃赤褐色で，一面に小白斑がある。水深 50mぐらいまでに生息するが，サンゴ礁では低潮線付近でもみられる。インド西太平洋海域に広く分布し，ニシキウズやチョウセンサザエなど大型重厚な巻貝（→巻貝類）を好んで利用する。（→甲殻類，十脚類，節足動物，軟甲類）

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

日本大百科全書(ニッポニカ)

コモンヤドカリ
こもんやどかり / 小紋宿借
white-spotted hermit crab
[学] Dardanus megistos

節足動物門甲殻綱十脚(じっきゃく)目ヤドカリ科に属する海産動物。紀伊半島以南の太平洋、インド洋に広く分布し、サンゴ礁にすむヤドカリの代表種。甲長5センチメートルに達する大形種で、ニシキウズやチョウセンサザエなどの貝殻によく宿る。頭胸甲、はさみ脚(あし)、歩脚(ほきゃく)、腹部は一様に赤褐色で、黒く縁どられた白色の斑点(はんてん)が一面にある。はさみ脚と歩脚には鋭い棘(とげ)と剛毛が密生しており、とくに先端3節で著しい。紀伊半島から土佐湾にかけては水深30～50メートルから底引網で得られる。

［武田正倫］

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)

世界大百科事典（旧版）内のコモンヤドカリの言及

【ヤドカリ(宿借)】より

…雑食性であるが動物質を好む。　日本近海のサンゴ礁にはスベスベサンゴヤドカリCalcinus laevimanus，コモンヤドカリDardanus megistos，浅海にはオニヤドカリAniculus aniculus，ヨコスジヤドカリD.arrosor，ソメンヤドカリD.pedunculatus，磯にはホンヤドカリPagurus geminus，イソヨコバサミClibanarius bimacratus，ヤマトホンヤドカリP.japonicus，干潟にはユビナガホンヤドカリP.dubiusが多い。　釣餌にされ，またオカヤドカリなどは子ども相手に夜店などで売られる。…

※「コモンヤドカリ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」