十脚類(読み)ジッキャクルイ

デジタル大辞泉 「十脚類」の意味・読み・例文・類語

じっきゃく‐るい【十脚類】

十脚目に属する甲殻類総称

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「十脚類」の意味・わかりやすい解説

十脚類 (じっきゃくるい)

節足動物門甲殻綱十脚目Decapodaに属する動物群の総称で,エビヤドカリカニ類を含む。世界に約1万種といわれ,下等なミジンコやヨコエビ類などに比較して高等甲殻類とされ,また,一般に大型種が多いことから大型甲殻類ともいわれる。河川上流谷川湖沼にはテナガエビ類やヌマエビ類,サワガニ類が見られ,潮間帯から浅海にかけては他の動物群と同様に多数の種がすみつき,変化に富んだ生活を繰り広げている。大陸斜面から暗黒,高圧の深海底においてもかなりの数の種が得られている。カニ類の最深記録は約4100mであるが,ヤドカリ類は約6000m,エビ類には遊泳性と底生性があるが,水深1万m以上の深海から遊泳性の種が得られている。

 クルマエビ類に代表される遊泳型エビ類のように左右に平たいものと,イセエビザリガニに代表される歩行型エビ類やヤドカリ類,カニ類では背腹に押しつぶされたように平たいものとがある。いずれも頭部と胸部は1枚の甲で覆われ,その後方に6個の腹節と尾節が続く。甲面にはとげや顆粒(かりゆう),凹凸があることが多く,分類上の標徴となっている。腹部形態はエビ,ヤドカリ,カニという基本型が区別される。頭部付属肢は第1,2触角,大顎,第1,2小顎よりなる。胸部付属肢は第1~3顎脚と,5対の歩脚からなるが,その第1対目ははさみを形成することが多い。雌は一般に腹肢に卵をつけて守る。卵は下等甲殻類とは異なりノープリウス孵化(ふか)することはまれで,より進んだ幼生形で孵化する。

 エビ類の多くの種,ヤドカリとカニ類の一部の種は食用となり,水産業上重要な位置を占める。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「十脚類」の意味・わかりやすい解説

十脚類
じっきゃくるい
decapod

軟甲綱十脚目 Decapodaとしてまとめられる甲殻類の総称。基本的な体型から,長尾類(エビ類),異尾類(ヤドカリ類),短尾類(カニ類)という 3亜目に分けられることが多かったが,生態的な特徴から遊泳類(多くのエビ類)と歩行類(イセエビ・ザリガニ類,ヤドカリ類,カニ類)という 2亜目に分類されたこともある。今日は,根鰓類(クルマエビ・サクラエビ類)と抱卵類(多くのエビ類,ヤドカリ類,カニ類)の 2亜目に分けるのが一般的である。基本的な体制は,(1) 頭胸部が 1枚の甲で覆われる,(2) 腹部が 6節と尾節からなる,(3) 1~数対の鋏脚と数対の歩脚をもつ,などであるが,系統および生態の相違による変化が著しい。頭部付属肢は 5対(感覚用の第1触角,第2触角と口器を形成する大顎および第1小顎,第2小顎),胸部付属肢は 8対(口器を形成する第1~3顎脚,運動用の第1~5歩脚),腹部付属肢 6対は第1~5腹肢と尾肢からなる。眼は一般に有柄の複眼で,呼吸はすべてによる。甲殻類中最も進んだ類で,淡水から深海まで約 9000種以上が知られている。(→節足動物軟甲類

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