コンティンジェンシー理論(読み)コンティンジェンシーリロン(その他表記)contingency theory

デジタル大辞泉 の解説

コンティンジェンシー‐りろん【コンティンジェンシー理論】

contingency theory環境適応理論。あらゆる経営環境に対して有効な唯一最善経営組織は存在しないとして、経営環境が異なれば有効な経営組織は異なるという立場をとる理論。

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日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

コンティンジェンシー理論
こんてぃんじぇんしーりろん
contingency theory

条件理論、状況理論、条件適合理論などの訳語があるが、一般にそのまま用いられることが多い。普遍理論universal theoryの有効性に疑問を呈示し、「条件Xのもとでは命題Aが、条件Yのもとでは命題Bがもっとも有効である」というように、特定条件下で成立する命題の体系として理論を構築しようとするものである。従来、伝統的・古典的経営理論は、国籍業種、規模、業態、環境、生産技術などの相違を越えて成立する原理、原則を追求してきた。これが普遍理論である。これに対して、抽象度の高い普遍理論の存在を疑問視し、操作性を与えるため、条件との関係で理論化を図り、しかも実証研究を通じて有効性を検証しようとするのがコンティンジェンシー理論で、1960年代からこのような研究が急速に台頭してきた。最初は、生産技術と組織構造の間の相関関係を研究する技術学派とよばれるものが中心であった。それは、普遍的に最善の組織構造は存在せず、単品・小バッチ生産、大バッチ・大量生産、装置生産など生産技術ごとに適合する組織構造があるとした。以後、組織、戦略、リーダーシップの分野を中心に成果が蓄積されつつある。

[森本三男]

『野中郁次郎・加護野忠男・小松陽一・奥村昭博・坂下昭宜著『組織現象の理論と測定』(1978・千倉書房)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

コンティンジェンシー理論
コンティンジェンシーりろん
contingency theory

企業を取巻く環境に依存せず普遍的に有効な組織原則を追求してきた伝統的組織論の流れに対して,環境が異なれば有効な組織も異なることを主張した理論の総称環境適合理論または状況適合理論ともいう。 1960年代に台頭し,70年代に盛んになった。その一つは,変化の少い環境下では自由度の少い機械的組織が,環境変化の激しい場合はその逆の有機的組織が有効であるとする。

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世界大百科事典(旧版)内のコンティンジェンシー理論の言及

【組織論】より

…このような研究が基本的には環境要因を重視しないクローズド・システムとしての組織の静態分析を行ったのに対し,T.バーンズ,G.M.ストーカー,J.ウッドワード,P.R.ローレンスとJ.W.ローシュらは,環境との交換関係にあるオープン・システムとしての組織が環境へ適応する様式を問題とし,実証研究を展開した。このような理論をコンティンジェンシー理論(条件理論)という。 以上のようなマクロとミクロのアプローチを統合し,一般理論を構築しようという試みとして,C.I.バーナードの〈協働システム〉,H.A.サイモンの〈意思決定〉などの概念を中心とした一般理論があるが,今までのところ,組織論では一般理論構築よりも,中範囲の理論を志向した研究が盛んである。…

※「コンティンジェンシー理論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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