サカダ(その他表記)sacada

改訂新版 世界大百科事典 「サカダ」の意味・わかりやすい解説

サカダ
sacada

フィリピン中部の糖業地帯でみられる季節的出稼ぎ労働者のこと。サトウキビの収穫では,農場での刈取りから工場への運搬,圧搾までの作業をできるだけ敏速に行うことが,糖分減耗を防ぐための不可欠の技術的前提である。そこでサトウキビ地帯の収穫期にはどこでも大量の労働力需要が発生する。この労働力調達を,農園主たちはコントラティスタと呼ばれる手配師に依頼する場合が多い。収穫期前になると手配師たちは付近の島々に渡り,貧農,雇農,土地なし労働者の間を回って前貸金を餌に労働者をかき集め,ネグロス島などサトウキビ農園の集中する島々に連れて戻ってくる。これら労働者は臨時雇労働者として農園内に住み込み,収穫期が終わるまでの数ヵ月間そこで働く。収穫が終わるとその間に蓄えたわずかばかりの賃金をもって故郷に帰ってゆく。全貌を示す正確な数字は見当たらないが,最近行われた調査によると,ネグロス島の糖業関係労働者の1~2割がこうしたサカダ労働力によって供給されていること,最大の供給先としてパナイ島のアンティケ,アクラン,カピスの諸州があげられ,全サカダ労働力の86%を占めたと報告されている。サカダが社会的に注目されるのは,一般に賃金水準が著しく低いこと,農園内の生活環境が著しく劣ることなどの労働条件の劣悪さと,賃金のピンはね,前貸金からの高利徴収,といった手配師の目に余る中間搾取が存在するからである。なお,サカダの語源はスペイン語で〈引き抜く〉を意味するサカールsacarに由来するといわれるが,これは上記のような労働力調達の仕方と関係する。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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