シェ・チン(読み)しぇちん

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

シェ・チン
しぇちん / 謝晋
(1923―2008)

中国の映画監督。11月21日、浙江(せっこう/チョーチヤン)省上虞(じょうぐ/シャンユー)の生まれ。中国映画史では「第三世代」に分類される。1941年、四川(しせん/スーチョワン)省江安(こうあん/シャンアン)の国立演劇専門学校に入学して演劇を学ぶ。1943年、中退して重慶(じゅうけい/チョンチン)に移り、中国青年劇社で勉学を続ける。第二次世界大戦後の1946年に専門学校に復学し、1948年卒業。同年より上海(シャンハイ)の撮影所で助監督を務め、1954年『ある出来事』で監督デビュー。1950年代を通じて若手のホープとして頭角を現す。1960年代に入ると、女性軍人を描いた革命劇『紅色娘子軍(こうしょくじょうしぐん)』(1961)が人気を博すが、文化大革命が起こると『舞台姉妹』(1964)が批判の的になり、監督としての不遇と家族を含めた受難の時期を過ごす。文革終了後に本格的な復活を果たし、激動の中国現代史のなかで政治状況に翻弄(ほんろう)される人々を描いた『天雲山物語』(1980)、『牧馬人(ぼくばじん)』(1981)、『芙蓉鎮(ふようちん)』(1986)の諸作で名実ともにトップ監督となり、後進に大きな影響を与えた。他の作品に『最後の貴族』(1989)、『乳泉村(にゅうせんむら)の子』(1991)、『阿片戦争』(1997)などがある。逆境に耐えて生き抜く骨太の人間ドラマを得意とし、“中国の黒澤明(くろさわあきら)”と称された。2008年10月18日没。[石坂健治]

資料 監督作品一覧

ある出来事〈一場風波〉(1954)
背番号5号の女子バスケット選手〈女籃五号〉(1957)
紅色娘子軍〈紅色娘子軍〉(1961)
三人の李さん〈大李、小李和老李〉(1962)
舞台姉妹〈午台姐妹〉(1964)
裸足の医者春苗(チョンミョウ)〈春苗〉(1975)
天雲山物語〈天雲山伝奇〉(1980)
牧馬人〈牧馬人〉(1981)
炎の女 秋瑾〈秋瑾〉(1983)
戦場に捧げる花〈高山下的花環〉(1984)
芙蓉鎮〈芙蓉鎮〉(1986)
最後の貴族〈最後的貴族〉(1989)
乳泉村の子〈清涼寺的鐘声〉(1991)
犬と女と刑老人〈老人与狗〉(1993)
阿片戦争〈鴉片戦争〉(1997)
栄光のフォワードNo.9 女子サッカーに捧げる〈女足9号〉(2001)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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