シダモ諸族(読み)シダモしょぞく(その他表記)Sidamo peoples

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シダモ諸族」の意味・わかりやすい解説

シダモ諸族
シダモしょぞく
Sidamo peoples

エチオピア南西部のオモ川流域,リフトバレー地域に住む西クシ語系諸族の総称。形質的にはニグロイドコーカソイドの混血特性を示す。次の7群に大別される。カファ Kafa,オメト Ometo,ジャンジェロ Janjero,ギベ Gibe,ギミラ Gimira,マジ Maji,バコ Bako。このうちギベは 16世紀にガラ族によって征服され,ガラ語 (東クシ語系) を話し,イスラム化している。シダモ諸族は,灌漑,雛壇耕作,犂耕 (りこう) ,肥料使用などの技術をもつ高度の集約農耕民で,アビシニアバナナ (エンセテと呼ばれ,実ではなく葉柄にたまるデンプンを食用にする) を主食とする。牛,やぎ,羊などの家畜飼養は副次的に行う。集落は各ホームステッドの周辺に耕地がある散村形式をなす。カファ,ジャンジェロ,ギベでは王族,貴族,平民という階層があり,鍛冶屋や狩人などは賤民とされる。シダモ諸族はいずれも王制をもっていたが,代表例はカファ王国 (1400建国) で,天の神の顕現であり,その神官でもある神王を頂点宰相を含む7人から成る枢密会議,王権を規制する母后,整備された軍事行政組織,国全体を取囲む防御用石壁などを整えた神聖王国であった。 19世紀末にメネリク1世下のエチオピア帝国に征服され,その属領となったが,王制は存続した。社会組織は父系出自集団を中心とし,ガラ族のような年齢組体系はみられない。

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