シャバ州侵攻事件(読み)シャバしゅうしんこうじけん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャバ州侵攻事件」の意味・わかりやすい解説

シャバ州侵攻事件
シャバしゅうしんこうじけん

1977年3月,78年5月と2度にわたってアンゴラに根拠地をもつコンゴ解放民族戦線 FNLCの兵約 5000人が国境を越えてザイール (現コンゴ民主共和国 ) のシャバ州に侵攻し,モブツ政権の打倒をはかった事件。第1次侵攻の際には FNLC軍は一時国境から 200kmも奥へ進撃し,ムチャチャなどの重要拠点を占領するほどの勢いを示したが,4月フランスの提供した輸送機によりモロッコ軍 1500人が政府軍支援のために派遣され,アメリカも武器援助を行なったため,戦況は政府軍に有利に傾き,5月 21日モブツ大統領はシャバ州侵攻事件の終結を宣言した。また第2次侵攻の際には,同州最大の鉱業都市コルウェジが占領され,欧米人約 2000人が事実上人質とされたが,フランス,ベルギー降下部隊が突入してこれを救出し,FNLCは撃退された。 FNLCは,コンゴ動乱当時 M.チョンベの支配下にあったカタンガ勢力の残党であり,63年1月カタンガが国連軍に制圧されてのちアンゴラに逃れ,ポルトガルの傭兵となっていた。 75年 11月のアンゴラ独立以後はアンゴラ解放人民運動 MPLAの系列下に入り,モブツ政権打倒の尖兵としてカタンガに侵攻したものとみられている。

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