シャープビル虐殺事件(読み)シャープビルぎゃくさつじけん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャープビル虐殺事件」の意味・わかりやすい解説

シャープビル虐殺事件
シャープビルぎゃくさつじけん

1960年3月 21日に,南アフリカ共和国のヨハネスブルク郊外シャープビルでパス法に反対するアフリカ人群衆に向けて警官隊が発砲し,死者 69人,負傷者 186人を出した事件。 M.ソブクウェの指導する南アフリカの解放組織パン・アフリカニスト会議 PACは,アパルトヘイトに反対する運動の一環として大々的なパス法反対デモを組織する計画を立て,3月 21日をその初日と定めた。当日シャープビルで,PACの指示に従ってパス法に反対する数千人のアフリカ人が警察署の前に集まったところ,突如警官隊がこれら無防備のアフリカ人群衆に発砲,多数の死傷者を出した。同日ランガおよびニヤンガにおいても同様の事件が発生,ランガでは死者5人,負傷者 49人,ニヤンガでは死者2人を出した。事件後ソブクウェなど PAC指導者は逮捕され,また3月 27日にみずからのパスを焼いて当局抗議の姿勢を示したアフリカ民族会議 ANCの A.ルスリ総裁をはじめ,アフリカ人解放運動指導者の大量逮捕が続き,4月8日には PAC,ANCが非合法化されるにいたった。この事件によって,南アフリカ政府は国際世論非難を浴び,南アフリカの解放運動もこれ以後非暴力主義から武装闘争路線へと転換することになった。

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