日本大百科全書(ニッポニカ) 「シロアマダイ」の意味・わかりやすい解説
シロアマダイ
しろあまだい / 白甘鯛
white tilefish
[学] Branchiostegus albus
硬骨魚綱スズキ目アマダイ科に属する海水魚。シラカワともよばれる。鹿島灘(かしまなだ)、相模(さがみ)湾、紀伊水道から豊後(ぶんご)水道までの太平洋沿岸、若狭(わかさ)湾から九州西岸の日本海沿岸、東シナ海、朝鮮半島、台湾、香港(ホンコン)などの海域に分布する。体は長くて側扁(そくへん)する。体長は体高の3.6~3.7倍。頭の外郭は目の上方から吻端(ふんたん)までほとんど垂直。体長は頭長のおよそ3.3倍。目はいくぶん小さく、眼径は頭長の約5分の1。上下両顎(りょうがく)はほとんど水平で、上顎の後端は目の中央下に達する。前鰓蓋骨(ぜんさいがいこつ)の下縁は鋸歯(きょし)状。鰓耙(さいは)は上枝に7~9本、下枝に12~14本。頭と体は櫛鱗(しつりん)で覆われ、頬(ほお)部の鱗(うろこ)は明瞭(めいりょう)で、皮下に埋没していない。側線鱗数は48~51枚。背びれと臀(しり)びれの基底は長く、棘(きょく)部と軟条部の境に切れ込みがない。背びれ基底長は臀びれ基底長の約2倍。背びれは7棘15~16軟条、臀びれは2棘12軟条。体は灰色がかった淡赤褐色で、腹部は淡く、体側面に横帯がない。目の周りに銀白色部がない。背びれ前方の背正中線上には黒い縦線がなく、また尾びれには黄色の縦帯はないが、後縁に沿って数本の細い黄色横帯がある。水深30~100メートルの泥または砂泥底に生息し、おもにエビ類や小魚を食べる。東シナ海では1年で雌では体長17センチメートル、雄では20センチメートル、3年で雌では31センチメートル、雄では37センチメートル、5年で雌では40センチメートル、雄では46センチメートルに成長する。雄は雌より成長が早い。最大体長は60センチメートル。産卵期は12月~翌年5月で、盛期は4~5月ごろと推定され、大形魚は小形魚よりも早い。体長による性比に差がみられ、体長20センチメートルほどの小形魚は雌が多いが、体長33センチメートルでは逆転し、40センチメートル以上では雄ばかりになる。釣り、延縄(はえなわ)、刺網(さしあみ)、底引網などで漁獲される。他のアマダイ類に比べて大きくなり、脂肪が多く、もっとも美味であるので、高価で取引される。肉は柔らかいが、焼き物、蒸し物、みそ漬け、吸い物、干物などにする。
[片山正夫・尼岡邦夫 2020年12月11日]