物理化学者。岡山県の生まれ。1900年(明治33)東京帝国大学理科大学化学科を卒業。1902年東京高等工業学校(現、東京工業大学)電気化学科教授となる。1905年秋から1909年初めにかけてヨーロッパに留学。チューリヒ工科大学のローレンツRichard Lorenz(1863―1929)のもとで電気化学を研究し、可逆電池の起電力がギブスの自由エネルギーであることを明らかにした。ついでベルリン大学のネルンストのもとでボーデンシュタインとともに二酸化窒素および硫酸の解離平衡を研究した。1911年、東北帝国大学理科大学創立とともに教授となり、物理化学講座を担当。1915年(大正4)物理化学教科書『化学本論』を出版。原子論の立場に徹底する一方、熱力学を有効に取り入れた名著であった。同年、液体の表面張力と温度との関係式(片山式)を発表した。1919年桜井錠二(じょうじ)の後任として東京帝国大学に転任。1920年代後半に量子化学が生まれるといち早くそれを紹介し、多数の物理化学者を養成して1938年(昭和13)定年退官した。
[内田正夫]
明治〜昭和期の物理化学者 東京帝大教授。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
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